
トヨタ自動車は次の成長局面を見据えて再び投資を引き上げている。日本経済新聞は、トヨタが2026年3月期の研究開発費と設備投資を合わせて約4兆円を投入する計画だと報じた。日本の上場企業で初めて年間売上高50兆円を超えたのに続き、大規模投資で成長を続ける考えだ。
トヨタの経営陣は5月8日の決算記者会見で、投資のアクセルペダルを踏める状態にあると強調した。今期の研究開発費は前期比5%増の1兆6,000億円と過去最高を更新する見込みで、設備投資も2兆3,000億円の高水準を維持する見通しだ。
トヨタは最近数年間、グループ系列会社の不正問題や生産現場の余力不足に対応するため、まず足場固めに注力してきた。佐藤恒治前社長は昨年5月の決算記者会見で、グループ各社の不正問題と余力不足の課題に正面から向き合い、足場固めが成長に向けた最優先課題だと述べた。
この方針のもと、工場の稼働時間の上限を引き下げ、設備点検や人材育成に充てる時間を確保する取り組みが進められた。過度な生産性追求を見直し、現場の負担を軽減することが長期的な成長につながるとの判断に基づくものだった。
こうした基調の中でも、業績は急拡大を遂げた。トヨタの売上高は昨年3月期に初めて40兆円を超えた後、わずか2年で50兆円台に達した。年間売上が初めて10兆円を超えたのは1992年6月期。その後、20兆円突破まで約14年、30兆円突破にはさらに13年を要した。
販売好調が業績拡大を支えた。世界全体の販売台数は前期比2.2%増の1,128万台で、過去最高を記録した。
販売構成ではハイブリッド車(HV)が中心を担った。セダン「カムリ」などの販売が増加し、競合他社が電気自動車(EV)に集中する中、トヨタはHVとEV、プラグインハイブリッド車(PHV)を併せて打ち出し、選択肢を広げた。その結果、電動車の販売台数が初めて500万台を超えた。
事業ポートフォリオでは部品・販売金融などバリューチェーン事業の比率が高まっている。この事業の営業利益予想は今後も拡大が続き、連結営業利益の半分に達する見込みだ。
外部環境は再び不安定になっている。中東情勢の緊張を背景に、自動車内装材などに使われるナフサの調達遅延への懸念が広がっているためだ。一部の主要サプライヤーは「5月末までは確保できるが、6月以降は懸念が生じる」と警戒感を示している。
トヨタのTier1サプライヤー幹部の間では、他社でも同様のナフサ調達難が生じており、トヨタの調達部門と連携して対策に乗り出す動きも出始めているという。サプライチェーン全体で問題が相次いでおり、一つひとつ対応していく必要がある状況だ。
成長を支えるもう一つの柱が現地生産の拡大だ。トヨタは先月11日、インド西部に完成車の新工場を建設すると発表した。同工場は2029年上半期の稼働を目指す。インドと中東・アフリカ市場で需要が高いSUVを生産する計画だ。
現地化戦略はサプライチェーンにも広がっている。豊田通商の今井斗志光社長は先月30日の決算記者会見で、インド駐在員を現在の2倍の100人規模に増やす方針だと述べた。インドをアフリカに次ぐグローバルサウスの重要市場と位置づけていると説明した。
バリューチェーン事業の深化も進行中だ。欧州の販売店でトヨタ車の定期点検を受けると、走行距離1万5,000km・期間1年の延長保証を提供するサービスが始まった。購入後の顧客接点を維持しつつ、補給部品の収益拡大につなげる狙いがある。
このモデルは中国・東南アジア・中南米など5つの地域で展開されている。トヨタ副社長の宮崎洋一氏は、事業領域をグローバルに広げることで現在の成長を維持できるとの考えを示した。
市場ではトヨタの追加成長が続くか注目されている。QUICKコンセンサスによると、2030年3月期の売上高予想は約55兆3,677億円とのことだ。市場では今後4年以内に売上高60兆円を超えることは容易ではないとみられており、投資拡大と構造改革の効果がどこまで持続するかが焦点となっている。











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