
トヨタ クラウン(セダン)ハイブリッド——フラッグシップの新解釈
トヨタ クラウンは1955年の初代登場以来、日本の高級車市場を牽引してきた。2022年に登場した現行モデル(16代目)では、クロスオーバー・スポーツ・セダン・エステートという4つのボディタイプによる「群戦略」へと大きく転換した。なかでもセダンは、「ニューフォーマル」を標榜するフラッグシップとして独自の位置づけを持つ。
外観はトヨタの最新デザイン言語を採用し、伸びやかで落ち着いた印象を持つプロポーションに仕上げられた。大型グリルとスリムなLEDヘッドランプを組み合わせたフロントは存在感があり、長いボディに対して低いルーフラインが高級感を演出する。ボディサイズは全長5,030mm、全幅1,890mm、全高1,475mm、ホイールベース3,000mmで、広い後席スペースとゆとりある乗り心地を実現している。
パワートレインには、2.5リッター直列4気筒エンジンを縦置きに搭載し、FRレイアウトに対応した「マルチステージハイブリッド」を組み合わせる。駆動方式はFR(後輪駆動)で、重心の低いバッテリー搭載レイアウトとともに、上質な走りと高い安定性を両立している。WLTCモード燃費は18.0km/L(国土交通省審査値)で、大型プレミアムセダンとして優れた水準にある。
インテリアは、12.3インチデジタルメーターと14インチタッチスクリーンを中心に据えたすっきりとしたダッシュボード構成で、ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoに標準対応する。前席には電動調整・ベンチレーション・シートヒーターを標準装備し、後席もリクライニングやUSB-Cポートを備えるなど、ロングドライブでの快適性に配慮されている。
安全装備は、トヨタ セーフティ センスの最新バージョンを全車標準装備とする。プリクラッシュセーフティ・レーントレーシングアシスト・レーダークルーズコントロール(全車速追従)・緊急操舵支援・フロントクロストラフィックアラートに加え、ドライブレコーダー(前後方)やアドバンスト パーク(リモート機能付き)も標準で付く。サスペンションはフロント・リヤともにマルチリンク式コイルスプリングを採用し、路面の凸凹を効果的に吸収しながらコーナリング時の安定した姿勢を維持する。
日本市場におけるグレード構成はZの単一グレードで、メーカー希望小売価格は730万円(HEV・2.5L・税込)。競合として位置づけられるホンダ アコード ハイブリッドやレクサス ES300hと比べ、独自のFRレイアウトとマルチステージハイブリッドによる走行感覚、広い後席空間がクラウン セダンの差別化点となっている。低公害車として各種エコカー減税の対象にもなっており、税制面での優遇も購入判断の材料になる。
クラウンのプレミアムセダンとしての地位は、スポーツやクロスオーバーとは異なる「静」の方向性で打ち出されている。ビジネス用途や上質な移動空間を求めるユーザーに向けた、現行クラウンシリーズの中で最もフォーマルな一台だ。











コメント0