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「ペダルを踏んでも車が止まらない」下り坂でフットブレーキだけ使い続けると起きる「制動不能」の正体

佐藤 彩 アクセス  

引用:ゲッティイメージバンク
引用:ゲッティイメージバンク

長い下り坂を走行する際、エンジンブレーキを活用して制動システムの熱負荷を分散させることで、ベーパーロック現象を防ぎ、消耗品の寿命を効率的に管理できる。

山道や峠の下りで、フットブレーキだけを繰り返し踏んでしまうドライバーは少なくない。ブレーキペダルを踏み続けること自体が安全に感じられるためだ。

しかしこの方法は、ブレーキパッドとディスクに熱を集中させ、深刻な危険を招く。過熱によって摩擦係数が急激に低下するフェード現象や、ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し油圧伝達が途切れるベーパーロック現象がその結果だ。いずれもペダルを踏んでも車が止まらない制動不能に直結するだけに、正しい走行方法を知っておきたい。

引用:ゲッティイメージバンク
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フットブレーキ多用が招く2つの危険

下り坂でフットブレーキを繰り返し使用すると、ブレーキパッドとディスクの温度が持続的に上昇する。温度が許容範囲を超えると摩擦係数が大幅に低下するフェード現象が発生し、この状態ではペダルを強く踏んでも制動力は期待できない。

熱がさらに蓄積されると事態は一段と深刻になる。ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し、油圧の伝達が断たれるベーパーロック現象へと進行するためだ。この段階になるとペダルがスポンジのようにふわふわした感触になり、制動力はほぼ失われる。下り坂が長いほど、また車両が重いほど、こうした状態は速く進む。

エンジンブレーキで負荷を分散する

エンジンブレーキは、ギアを落としてエンジン回転数を上げることで制動力を生み出す。低速ギアに入れると、エンジン内部の吸入・圧縮・排気の各行程で生じる機械的抵抗が増し、この抵抗が減速力として働く。

引用:ゲッティイメージバンク
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アクセルペダルから足を離してギアがかかっている状態では、ECUが燃料噴射を遮断するフューエルカットモードが作動し、下り坂の一部区間では燃料消費がほぼゼロになる効果もある。

注意すべき点は、低速ギアを使用するとエンジン回転数が上がりエンジン音が大きくなることだ。これはエンジンブレーキが正常に作動しているサインだ。ただし、エンジン回転数の上限であるレッドラインを超えるとエンジンに負担がかかるため、回転数の管理が必要だ。

AT車はマニュアルモードに切り替えてシフトダウン

MT車はアクセルペダルを離しながらギアを一段ずつ落とすことで、エンジンブレーキを自然に使える。AT車は燃費や乗り心地を優先して高いギアを維持しようとする傾向があり、長い下り坂でも自動的には低速ギアに保たれないことが多い。

引用:ゲッティイメージバンク
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こうした場合はマニュアルモード(M)に切り替えるか、パドルシフトを使って1〜2段シフトダウンすることが重要だ。下り坂に差しかかる前に低速ギアを選んでおき、フットブレーキは補助的に使うことでブレーキへの熱負荷を分散できる。

高速走行中に急に低速ギアへ落とすと駆動系に大きな衝撃がかかるため、まずフットブレーキで速度を落としてからシフトダウンする順番を守りたい。

引用:ゲッティイメージバンク
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ニュートラル走行は危険

一部のドライバーは下り坂でギアをニュートラルにすることがあるが、この走り方ではエンジンブレーキが一切利かない状態になる。ギアが入っていないため加速時には余分な燃料が必要になり、とっさの加減速への応答性も大きく損なわれる。

近年は急な下り坂でもブレーキを踏まずに一定速度を維持できるヒルディセントコントロールを搭載した車両が増えているが、あくまでドライバー自身がエンジンブレーキを使いこなす習慣を基本とすることが理想だ。

引用:ゲッティイメージバンク
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ブレーキパッドとディスクは摩擦制動を繰り返すほど消耗する消耗品だ。エンジンブレーキを併用することでパッドへの負担が減り、消耗品の寿命延長にもつながる。制動の安全性と部品管理を同時に考慮した運転習慣といえる。

下り坂に入る前にギアを一段落としておくだけで、フットブレーキへの熱集中を防ぎ、フェード現象とベーパーロック現象のリスクをともに低減できる。エンジンブレーキの活用を、日常の下り坂走行における基本習慣として意識しておきたい。

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