シンガポール、子ども1人に17歳まで約870万円 出生率0.87で支援拡充

シンガポール政府は、過去最低に落ち込んだ出生率を引き上げるため、子ども1人当たり17歳まで約7万シンガポールドル(約876万9,500円)を直接支援する異例の対策を打ち出した。
シンガポールメディアのCNAが23日(現地時間)に報じたところによると、シンガポールのローレンス・ウォン首相は同日の建国記念集会で、こうした内容を盛り込んだ新たな支援策を発表したという。今回の対策には現金給付やメディセーブ(医療貯蓄口座)への補助、児童手当などが含まれる。
2026年6月時点で、この支援策の対象になる17歳以下の子どもは61万人を超える。特に新制度では、一人親家庭の子どもも現金給付を受けられるようになる。これまで出産奨励金や大家族向け生活支援金の現金給付は、法律上の婚姻関係にある両親の子どもに限られていた。
シンガポール首相府国家人口・人材局(NPTD)は「この給付は、出生順位や家庭環境、親の婚姻状況にかかわらず、すべてのシンガポール国籍の子どもに拡大される」と説明した。これまでは出生順位が後になるほど現金給付額や育児手当のマッチング拠出上限額が大きくなっていたが、新制度ではこうした差がなくなる。
具体的な給付方法も明らかになった。来年4月1日から、対象になる新生児には一律1万シンガポールドル(約125万3,200円)が現金で支給される。それ以前に生まれ、現在育児手当を受け取っている子どもについては、来年3月31日まで従来の手当がそのまま支給される。新制度の開始後は追加給付を行い、現金給付の総額が1万シンガポールドルになるよう調整する。
ウォン首相は「支援は出生時だけで終わるものではない」と強調した。子どもが生まれてから最初の16年間は毎年2,000シンガポールドル(約25万630円)の児童手当が支給され、小中学校に通う期間には毎年追加の支援金も支給される。ウォン首相は「子どもが17歳になると、高等教育口座に1万シンガポールドルが追加で入金される」とも述べた。
一方、政府は共働き夫婦を対象にした有給育児休暇の拡充や保育料の引き下げ、子どもが生まれた世帯への公共住宅の優先的な提供なども進めている。子どもが1人の場合は夫婦それぞれ8日、2人の場合はそれぞれ10日、3人以上の場合はそれぞれ12日の有給休暇を別途付与する案が検討されている。
政府の補助を受ける全日制保育施設の月額利用料は、150シンガポールドル(約1万8,800円)程度まで引き下げる計画だ。シンガポール政府は2026~2027会計年度に、関連事業へ70億シンガポールドル(約8,772憶3,900万円)を投入する方針だ。今回の対策は、深刻化する少子高齢化への対応という側面が強い。昨年、シンガポールの合計特殊出生率は0.87になり、過去最低を記録した。一方、今年は65歳以上の人口が全体の約20%を占め、超高齢社会に入ったとの見方が出ている。
