トランプ政権、郵便投票制限巡り最高裁に緊急申請
地裁の差し止め後、控訴裁の判断待たず最高裁へ…担当判事は即時判断を見送る姿勢

ドナルド・トランプ米政権が3日(現地時間)、11月の中間選挙を前に、郵便投票を制限する措置を再び実施できるよう連邦最高裁に緊急申請したと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。
政府は、有権者情報を連邦機関と共有しない州では、米郵政公社(USPS)が対象となる有権者に投票用紙を配達しないよう定める大統領令を施行できるよう求めた。
今回の最高裁への緊急申請は、ここ数週間でトランプ政権の郵便投票制限措置を巡り、最高裁に判断を求めた2度目となる。
これに先立ち、最高裁の多数意見は、行政府が郵便投票制限計画をまだ確定していないため、法的な異議申し立ては時期尚早だと判断した。
しかし、米郵政公社が最高裁の判断の直前に公表した計画について最高裁が扱わなかったため、マサチューセッツ連邦地裁は同公社の計画の主要部分の施行を再び差し止めた。
これを受け、政府は地裁の判断が出てから数時間後、最高裁に緊急申請した。
政府が通常の司法手続きを省略し、最高裁に直ちに介入するよう求めるのは極めて異例の措置だ。
最高裁判事らが、行政府が通常の司法手続きを省略しようとする動きをどう受け止めるか、また最高裁がどれほど迅速に対応するかは不明だ。
マサチューセッツ州からの緊急申請を担当するケタンジ・ブラウン・ジャクソン最高裁判事は、最高裁がこの申請を迅速に扱う一方、直ちに判断を下すことはないと示唆した。
ジャクソン判事は、トランプ政権が求めたマサチューセッツ連邦地裁の判断の効力停止を命じず、政府の申請に反対する側に対し、8日午前10時までに回答するよう求めた。
判断が遅れるほど、米郵政公社が11月の選挙に間に合うよう新たな措置を実施するための法的・実務的な障害を解消できる可能性は低くなるとみられる。
3日、米郵政公社の当局者はマサチューセッツ連邦地裁に提出した宣誓供述書で、裁判所が同公社による計画の実施を認める場合に備えた措置を講じていると明らかにした。
この当局者は、米郵政公社が新たな投票資格確認システムを引き続き「改善」しており、「来週中のいずれかの時点で任意に利用できるよう」各州に提供できると見込んでいると記した。
この規定に異議を唱えた民主党所属の州司法長官らや投票権団体、市民権団体は、選挙の運営を州の責任とする米憲法に違反すると主張している。
これに対しトランプ政権は、連邦法に基づき、米郵政公社にはこうした措置を導入する権限があると主張してきた。
法廷闘争は、トランプ大統領が2026年3月、郵便投票を制限し、投票資格の審査を支援するため、各州の投票資格を持つ米国市民の名簿を作成する計画を盛り込んだ大統領令に署名したことから始まった。
大統領令は国土安全保障省に対し、米国市民の名簿を作成したうえで各州と共有するよう指示した。さらに各州には、この名簿を米郵政公社に提供するよう求め、同公社がこの名簿を使って、郵便投票の対象となる有権者の投票資格を確認する仕組みとした。
これを受け、民主党所属の州司法長官らが提起した訴訟をはじめ、複数の訴訟が相次いだ。
2026年6月、この事件を担当した連邦地裁は、大統領令が憲法に違反すると判断して施行を一時的に差し止め、控訴裁判所もこの判断を支持した。
これに対し、トランプ政権が最高裁に判断を求め、最高裁は8月24日、政府側に有利な判断を示した。最高裁の保守派多数は、法的な異議申し立ては時期尚早だと判断した。
最高裁の9人の判事のうち保守派5人による多数意見は、政府の計画が施行段階に入った後も、大統領令が「必ず適法であるか」について判断したわけではないとして、「時間が経てば分かる」と記した。
ジョン・ロバーツ最高裁長官とリベラル派の最高裁判事3人が反対意見を示した。当時、リベラル派のジャクソン判事は、この決定が「迫り来る中間選挙に不必要な混乱と不確実性をもたらす」と記した。
しかし、最高裁の判断では、その3日前に公表された米郵政公社の計画については扱われなかった。
その後、米郵政公社の計画は違憲だとする訴訟が提起され、マサチューセッツ連邦地裁が同公社の計画の施行を差し止めた。
これを受け、米政府は3日、控訴裁判所の判断を待たず、連邦最高裁に緊急申請を行った。
