「これのどこがルイ・ヴィトンのロゴ?」…中国で反発、売上高30%減

世界的な高級ブランド、ルイ・ヴィトンが中国で茶ブランドとの商標権訴訟に勝訴したものの、逆風にさらされている。中国の消費者の反感が強まる中、ルイ・ヴィトンの中国での売上高も2桁減が続いていると推定されている。
ブルームバーグ通信は10日(現地時間)、中国の茶ブランドとの商標権争いが愛国主義的な反発を招き、LVMHの最大の収益源であるルイ・ヴィトンの中国での販売不振をさらに深刻化させていると報じた。
これに先立ち、江蘇省蘇州市中級人民法院は7月、ルイ・ヴィトンが起こした商標権侵害訴訟の一審で、中国の茶ブランド、モリーティー(茉莉奶白)に1,030万元(約2億3,600万円)の賠償を命じた。裁判所は、モリーティーの4枚の花びらを配したロゴがルイ・ヴィトンのモノグラムに酷似していると判断した。
モリーティー側は判決を不服として控訴する予定だ。ブランド創業者はSNSで控訴する意向を表明する一方、従来は黒だったブランドロゴを別の色に変更した。商標権侵害をやめるための措置とみられる。
「中国の伝統文様なのに」…訴訟が愛国主義を巡る論争に
裁判所の判断とは対照的に、中国のオンライン上ではルイ・ヴィトンへの批判が広がった。一部のネットユーザーは、モリーティーの4枚の花びらを配した文様が唐代の伝統文様「宝相華文」に似ていると主張した。4枚の花びらで構成されたデザインは、唐代のハスや柿のへたの文様に由来する中国の伝統文様だとの主張も出た。
一方、ルイ・ヴィトンが関連する権利を中国ですでに登録しており、モリーティー側の商標登録申請が2024年に却下されていたことから、モリーティーによる商標の使用に問題があるとの指摘も出た。結果的に、法的な判断とは別に、中国の伝統文化と欧米高級ブランドの商標権を巡る論争へと発展した形だ。
特に中国のオンライン上では、世界的な高級ブランドであるルイ・ヴィトンが、直接の競争関係にあるとは言い難い現地の小規模な茶ブランドを相手に訴訟を起こしたのは行き過ぎだとの批判も出た。
こうした反発は実際の売上高にも影響を及ぼしたとみられる。JLウォーレン・キャピタルは、ルイ・ヴィトンの中国での売上高が7月に約30%減少したのに続き、8月も20~25%減少したと推定した。8月の減少幅は7月より縮小したものの、依然として2桁減が続いた。
JLウォーレン・キャピタルのジュンヘン・リー最高経営責任者(CEO)は、今回の訴訟が中国の伝統文化の所有権を巡る論争を拡大させ、ルイ・ヴィトンの業績に大きな悪影響を及ぼしたと説明した。
グッチ・エルメスも減少…ルイ・ヴィトンはさらに大幅減
中国の景気減速を受け、ほかの世界的な高級ブランドも中国で売上高が減少している。ただ、ルイ・ヴィトンの減少幅は相対的に大きいと推定されている。
JLウォーレンによると、グッチの中国での売上高は7月に20%、8月に10%減少したと推定されている。エルメスの中国での売上高も同期間にそれぞれ約5%、13%減少した。
中国市場では、裁判での勝訴が必ずしも消費者世論での勝利につながるわけではないとの分析も出ている。中国では過去にも、ナイキやアディダス、H&Mなど欧米ブランドを巡る論争が愛国主義的な消費の動きにつながった例がある。ドルチェ&ガッバーナも2018年の広告を巡る騒動後、長期にわたって不買運動の影響を受けた。
上海の市場調査会社、百観のロバート・ウーCEOは「海外ブランドにとって、中国市場は利害関係者が複雑に絡み合う市場だ」とし、「裁判で勝つこともでき、政府の承認を得ることもできるが、世論という法廷も強い力を持ち、公式見解とは異なる方向に動くことがある」と語った。
中国はこれまで、所得の増加とともに世界的な高級ブランドの主要市場となってきた。中国の消費者がルイ・ヴィトンやエルメス、グッチなどの高額なブランド品を積極的に購入し、高級品業界にとって重要な収益源となってきたためだ。
しかし、最近の中国の景気減速で高級品消費が落ち込む中、今回の商標権争いも重なり、ルイ・ヴィトンの中国での売上高が短期間で回復するのは難しいとブルームバーグはみている。UBSは、中国の消費者がLVMHの売上高全体の約30%を占めていると推定している。
