
スマートフォンとモバイルバッテリーは、外出時の必需品となった。車内で使う機会も増えている。注意が必要なのは、気温が上がる夏だ。高温になった車内に、リチウムイオン電池を搭載した機器を放置すると、火災につながる危険が高まることは、あまり知られていない。
車内はあっという間に高温になる
外気温が25度を超える夏の天候が続くと、車内の温度は50度近くまで上がり、直射日光が当たるダッシュボード上はさらに高温になりやすい。スマートフォン、モバイルバッテリー、ノートパソコンなどに使われるリチウムイオン電池は、高温環境で内部の化学反応が活発になり、熱暴走を起こしやすくなる。その結果、発火や発煙につながる危険が高まる。

モバイルバッテリーによる火災が最も多い
東京消防庁が発表した「リチウムイオン電池搭載製品の火災発生状況」によると、関連火災は2023年に167件発生し、5年前の2018年の82件から約2倍に増えた。2023年の製品用途別の火災状況を見ると、モバイルバッテリーから出火したケースが44件で最も多く、スマートフォンなどの携帯電話が17件で続いた。ノートパソコンや携帯扇風機などでも火災が発生しており、原因となる製品が多岐にわたる点も特徴だ。
出火原因を具体的に見ると、通常通り使用していた際に出火したケースが23.4%で最も多く、落下などの外部衝撃が10.8%、分解・廃棄の過程で発生したケースが9.6%だった。一方、原因を特定できないケースも40.1%に上り、正確な原因の把握が容易ではないことも分かった。出火前の製品状態を見ると、異常があったケースは9.6%にとどまり、90%以上は特に異常のなかった製品で火災が発生していた。

充電中や廃棄時にも発火のリスクがある
出火時の充電状態を見ると、充電中だったケースが49.1%で最も多く、充電していない状態が38.9%、使用中が6%だった。エンジンを切った後の高温の車内で、モバイルバッテリーやスマートフォンを充電する行為は、熱暴走による発火リスクが特に高い状況といえる。直射日光が当たるダッシュボード上などに、こうした機器を放置しないことが重要だ。
リチウムイオン電池や、それを使った製品は、廃棄方法を誤ると大きな事故につながるおそれがある。実際に、リサイクル工場で発火事故が起きた事例もある。廃棄方法は自治体によって異なり、指定日に決められた方法で出す場合や、地域の拠点に設置された回収ボックスに入れる場合など、対応はさまざまだ。住んでいる地域のルールを事前に確認しておくことが安全につながる。

リチウムイオン電池は便利な一方で、高温に弱いという特性もある。夏場の車内にスマートフォンやモバイルバッテリーを放置しないこと、特にダッシュボードのように直射日光が当たる場所を避けること、使い終えた電池は自治体のルールに従って廃棄すること。この3つを守るだけでも、車内で起こり得る火災リスクを大きく減らせる。











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