米空母「リンカーン」、250日超ほぼ上陸できず…乗組員の心身負担に懸念

米国の空母「エイブラハム・リンカーン」が、イランとの戦争の影響で9か月にわたる長期の海上任務を続ける中、乗組員のメンタルヘルスへの懸念が高まっている。250日以上にわたり、まともに上陸できない状況が続き、一部の乗組員が海に飛び込もうとすることもあったと伝えられている。
13日(現地時間)の英ガーディアンがによると、米海軍と海兵隊員計5,000人以上が乗艦するエイブラハム・リンカーンは、9か月にわたって海上での任務を続けており、250日以上も上陸の機会がない状態が続いているという。当初、太平洋方面に向かう予定だったエイブラハム・リンカーンは、イランとの戦争が始まったことを受け、任務先が中東地域に変更された。その後も派兵期間が複数回にわたって延長され、長期の海上任務を続けている。
昨年12月にグアムに寄港し、今年7月にはオマーンにも一時寄港したが、滞在期間はいずれもわずか2日間だった。事実上、長期派遣の大半を海上で過ごしている。
長期派兵が続く中、乗組員のメンタルヘルスを懸念する声も強まっている。米軍事専門紙のネイビー・タイムズなどによると、エイブラハム・リンカーンでは、乗組員が海に飛び込もうとする事案が複数回発生したという。家族の間でも懸念が広がっている。先週、サンディエゴで開かれた海軍幹部との意見交換会には、乗組員の家族約200人が出席し、長期派兵に伴う問題を訴えた。ある軍人の妻は、夫からその日の朝、「いっそ明日、目を覚まさなければいいのに」との内容のメッセージが届いたと明らかにした。
家族らは艦内の生活環境についても問題を提起した。カビが発生した設備や故障したトイレ、衛生用品の不足、食事や飲料水を巡る問題などが指摘されたという。米民主党のマイク・レビン下院議員はSNSで、乗組員がカビの生えたシャワー室や故障したトイレ、温水が使えない環境で生活し、半分になった食事とトルティーヤ2枚でしのいでいると主張した。また、こうした問題の指摘を「フェイクニュース」だと一蹴した米国のピート・ヘグセス国防長官を批判した。
これに対し、米海軍は反論している。米海軍の当局者は、長期任務が軍人やその家族に大きな負担を与えていることは認める一方、司令部が把握している限り、艦内で自殺念慮や自殺未遂が増加していることを示す兆候は確認されていないと説明した。メンタルヘルスの専門家らによる支援を行っているほか、清潔な飲料水や食事も通常通り提供されているとしている。
それでも、長期間にわたって海上任務を続ける乗組員のメンタルヘルスへの懸念は根強い。家族や一部の政治家から、長期派兵が乗組員の精神的、身体的負担を増大させているとして対策を求める声が上がっている。

