世界で長期金利上昇、中国だけ逆行…30年国債2.15%が映す「景気低迷」

日本や米国など主要国で長期国債金利が数年ぶりの高水準に上昇する中、中国の債券市場では対照的な動きがみられる。景気減速への懸念が強まっている要因は、市場に出回る資金が企業の投資や個人消費ではなく、国債に向かっているためだ。
中国の長期金利の低下は、追加金融緩和への期待を反映している一方で、中国経済が慢性的に抱える資金循環の停滞を示しているとの分析が出ている。
19日、中国の30年物国債金利は2.15%まで低下し、2025年11月下旬以来の最低水準となった。10年物と30年物の金利差は約0.5%ポイントまで縮小し、今年2月以来の低い水準に近づいた。14日には、30年物国債先物の未決済建玉も過去最高を記録した。長期金利がさらに低下すると見込んだ投資家の取引が活発化したためだ。
世界の債券市場とは対照的な動きとなっている。米国の30年物国債金利は2007年以来の高水準まで上昇した。フランスの長期国債金利も2008年以来の高水準となり、日本も過去最高水準に近づいている。財政赤字の拡大やインフレへの懸念から主要国の長期国債が相次いで売られる中、中国国債だけが買われている格好だ。
中国国債の上昇に弾みをつけたのは、悪化する景気指標だ。先月、中国の工業生産や小売売上高、投資関連指標がそろって市場予想を下回り、追加の景気対策や金融緩和への期待が高まった。景気回復が遅れるほど金利が低下する可能性が高いとみた投資家が、償還までの期間が長い国債を集中的に買っているとの分析だ。
中泰証券の首席アナリストは、10年物と30年物の金利差の縮小について、年内の「リスクに対するリターンが最も大きい取引」と指摘した。中泰証券は、30年物国債金利が今後2%まで低下すると見込んでいる。民生証券のアナリストも、第4四半期に30年物国債金利が2.0~2.05%まで低下すると予想している。
問題は、中国国債が買われていることが、中国経済にとって必ずしも良い兆候とは限らない点だ。市中に出回った資金が企業の投資や個人消費に向かわず、債券などの金融資産に流れていることを意味するためだ。景気低迷→金融緩和への期待→国債買い→長期金利低下という流れが定着しているとの分析もある。
スタンダード・チャータード銀行の北アジア地域の最高投資責任者(CIO)、レイモンド・チョン氏は、「中国経済では依然として内需主導の明確な回復の兆しがみられない」と指摘した。その上で「他の主要国が利上げの可能性を織り込んでいるのに対し、中国市場では引き続き利下げが織り込まれている」と説明した。
中国と主要国の金利差が広がることも懸念材料だ。中国の金利が低下する一方、米国など主要国の金利が上昇すれば金利差が拡大し、中国から海外への資金流出や人民元安が進む可能性が高まる。
長期金利と短期金利の差が過度に縮小すれば、預金金利と貸出金利の差から収益を得ている中国の銀行の純金利マージン(NIM)も悪化する可能性がある。
今後の焦点は、中国政府による追加の景気対策と債券の発行動向だ。上半期に発行が遅れていた地方政府債が第2四半期に過去最大規模で発行されるとの見方が出ており、短期的には国債価格の上昇が鈍る可能性がある。
ただ、市場では、大量の債券が発行された後も景気回復が明確にならなければ、長期金利の低下傾向が続く可能性が高いとみている。

