米SMR株が急落 空売り投資家、1年で3,350億円の利益

人工知能(AI)データセンターの電力需要を追い風に急騰していた米国の小型モジュール炉(SMR)関連株が急落し、空売り投資家が過去1年間で21億ドル(約3,350億円)の利益を上げたことが分かった。
18日(現地時間)、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がS3パートナーズのデータを基に報じたところによると、米国株式市場に上場するニュースケール・パワー、ナノ・ニュークリア・エナジー、OpenAIのサム・オルトマンCEOが投資するオクロの3銘柄を空売りした投資家は、過去1年間で約21億ドルの利益を上げている。
3社は昨年、AIデータセンターの電力需要急増と、米国のドナルド・トランプ大統領率いる政権による原子力発電支援策への期待を背景に株価が急騰した。しかし、昨年10月の高値以降、3社の時価総額は合計303億ドル(約4兆8,300億円)減少した。
気候・エネルギー分野のシンクタンク、ブレークスルー研究所のアダム・スタイン氏は「株価は投機を背景に過度に膨らんでいた」と指摘し、昨年のSMR関連株は典型的な「期待による急騰から失望による急落」のサイクルをたどったと評価している。
SMRは、工場でモジュールとして製造することで建設期間やコストを抑える次世代型原子炉だ。一般的な大型原子力発電所の発電容量が1,000メガワット(MW)を超えるのに対し、SMRは通常300MW以下に収まる。
課題は、技術の商用化がまだ初期段階にあることだ。現在稼働している商業用SMRはロシアと中国に各1基の計2基しかなく、80件を超える設計が開発段階にある。
特に株価が大きく上昇した米国企業は、現時点で本格的な売上を確保できていない。ニュースケール・パワーは今年上半期に9,670万ドル(約154億円)の損失を計上した。ナノ・ニュークリア・エナジーは売上が全くない状態で、今年1〜3月期に1,400万ドル(約22億3,200万円)の営業損失を出している。オクロも米原子力規制委員会(NRC)から、原子炉の建設・運転に必要な最終認可をまだ取得していない。
現在、オクロとニュースケール・パワーでは市場で流通する株式の約18%、ナノ・ニュークリア・エナジーでは約30%が貸し出されている。通常、株式の貸し出し状況は、空売りの規模を推し量る指標として用いられている。
今年4月に上場したXエナジーも、上場直後に株価が急騰した後、時価総額が58億ドル(約9,245億円)減少した。S3パートナーズによると、今年5月中旬以降、Xエナジー株の空売りで生じた利益も約6,700万ドル(約106億7,800万円)に達した。
ただ、SMRを支える実際の電力需要への期待そのものが消えたわけではない。ブルームバーグNEFによると、米国のデータセンターの電力需要は2024年の34.7ギガワット(GW)から2035年には106GWへ、3倍以上に増加すると予想される。
メタは今年1月、オクロおよびテラパワーと、両社の原子炉開発を後押しするための前払い契約を結んだ。トランプ政権も今年6月、米国の原子力発電サプライチェーン再建に向け、175億ドル(約2兆7,900億円)規模の融資支援を発表した。
一方、SMRが実際に発電を始めるまでには相当な時間が必要なことから、投資家の懸念も強まっている。一部の原子炉は早くても2028年半ばから後半に稼働すると予想されており、大半が商用化されるのは2030年代になる見通しとなっている。
投資会社ARRインベストメント・パートナーズのクリスティアン・プッツCEOは「今年は投資家心理が変わり、人々ははるかに厳しい目で見るようになった」と述べた。そのうえで、これらの企業について「近い将来は売上がほとんど見込めないうえ、巨額の資本支出も必要になる」と指摘した。
アクティビスト系空売り調査会社グリズリー・リサーチのジークフリート・エッゲルトCEOは「2025年に見られた動きは、すでにしぼみつつある業界バブルのように見える」と評価している。
