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2026年8月21日(金) 東京 --

中国発のAI学習データ、世界に拡大 「主流の価値観」反映に懸念も

歴史・文学・時事など中国関連の情報を収録 上海AI研究所が作成したデータセット「WanJuan」 韓国語・アラビア語・タイ語などで無料公開

引用:AI Times

中国は、人工知能(AI)システムの学習に使われるデータを世界各地に供給しようとしている。より多くの利用者を自国のAIエコシステムに取り込むと同時に、米国との技術格差を縮める狙いがある。こうした動きを巡っては、両岸(中国と台湾)の対立を含む中国寄りの情報が各国のAIサービスに流入する可能性を懸念する声が出ている。

今年初め、中国の国家データ局は、2028年末までに中国をデータ大国にするための計画を公表した。科学研究や産業製造など20以上の戦略分野で、高品質なデータセットを構築する計画を示している。

データセットとは、AIシステムの学習に使われるテキストや画像、動画などのデータを指す。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、中国は米国に比べてAIの学習に使われるデータが不足していると指摘されてきた。中国政府の大規模な監視システムや、アリババ、テンセントなどの民間プラットフォームを通じて大量のデータを蓄積しているものの、データが分散しているため、十分に活用できていなかった。

リスク管理コンサルティング会社ユーラシア・グループのルー・シャオモン氏は、「中国の研究機関は、AIモデルの学習に十分なデータを確保するのに苦労している」と指摘した。

中国の研究機関が「蒸留(distillation)」に頼らざるを得ない背景には、こうした事情がある。蒸留とは、性能の高いAIシステムからデータを収集し、それを利用して独自のAIモデルを構築する手法だ。アンソロピックをはじめとする米国企業は、中国の競合企業が自社の技術を不当に複製していると主張している。

一方、米国では、マーコーやスケールAIなどのデータ加工会社が、数学者や弁護士などの専門人材を雇用し、付加価値の高いデータを確保してきたことで、AIモデルの精度を高めることができた。

中国の国家データ局は、この格差を縮めるため、大学にデータアノテーションに関する教育課程を設けるよう指示した。AIソフトウエアが物体を識別できるようにする単純なラベリングにとどまらず、専門知識を持つ人材による高度なデータアノテーションを確保する狙いがある。

さらに、中国はデータセットを世界各地に供給する計画を進めている。先月、上海で開催された世界人工知能大会(WAIC)では、発展途上国が独自のAIシステムを構築できるよう、データを共有すると表明した。

中国は、GitHubやHugging Faceなどの世界的なプラットフォームに大規模なデータセットを無料で公開した。代表的なものが、上海AI研究所が作成した「WanJuan(万巻)」だ。このデータセットは、歴史やスポーツ、法律、時事、医学、文学など、「中国の主流の価値観」に沿った情報で構成されている。

中国語だけでなく、アラビア語、韓国語、ロシア語、タイ語、ベトナム語などでもダウンロードできる。

こうしたなか、中国に友好的な情報を各国のAIに取り込ませようとしているとの見方も出ている。北京工科大学の研究チームが2023年に発表した報告書には、「ChatGPTが中国に関する偏った回答を大量に生成した」とし、「中国に関連する政治的な質問に対して回答を回避したり、拒否したりすることをしない」と指摘する内容が盛り込まれている。

NYTによると、専門家らは、こうした不均衡が中国共産党にとって戦略的な弱点になる可能性があると指摘している。また、中国によるデータ輸出の試みが、共産党の宣伝による影響力を拡大させる可能性があるとの見方を示している。

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