家計・企業の外貨預金、4~6月に4兆円増 98年以降で最大
4~6月の増加幅、1998年以来最大
個人は海外資産に投資、企業はドルの円転を先送り
円安に備えた円売りが再び円相場を押し下げ

日本の家計と企業の外貨預金が3か月間で4兆円近く増え、過去最大の増加幅を記録した。円相場のさらなる下落に備え、個人が資産を外貨に移す一方、輸出企業が稼いだドルを円に換えずに保有しているためだ。円安を懸念した資産移動が再び円売り圧力を強める悪循環が鮮明になっている。
21日、日本経済新聞が日本銀行のデータを分析したところ、今年4~6月の国内銀行の外貨預金の平均残高は26兆1,000億円で、前年同期比18%増加したという。増加額は3兆9,772億円に上り、外貨預金が全面自由化された1998年以降で最大になった。ドル高によって円換算額が膨らんだ影響を除いても、資金流入は大きかった。
今回の増加額は、2025年度の貿易赤字1兆7,000億円の2倍を超える。政府・日銀が2022~2024年の為替介入で1日平均に買い入れた円の額(3兆5,000億円)も上回る。個人の外貨預金は6兆7,000億円になり、8%増加した。これまで日本の個人投資家は、円高局面で外貨を割安に購入する傾向が強かった。最近では記録的な円安にもかかわらず、一段の円安に備えてドルなど外貨の比率を高めている。
ドルに集中していた投資先もユーロなどに広がっている。SMBC信託銀行は、米トランプ政権の発足以降、複数の通貨に資産を分散する顧客が増えていると説明した。ソニー銀行の外貨預金残高は昨年2月に7,000億円を超えた後、1年3か月後の今年5月には8,000億円に達した。
海外証券への投資も急増している。日本の家計が保有する海外株式などの証券資産は3月末時点で46兆4,618億円になり、1年前から23%増加した。世界の株式に投資する三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式」の純資産総額は13兆円になり、過去最高を記録した。投資額全体の約60%は米国株に配分されている。
企業の外貨預金は19兆3,000億円になり、22%増加した。輸出企業が円安の継続を見込み、輸出の代金として受け取ったドルの円転を先送りしていることが影響した。海外進出を準備する企業による先行的なドル確保や、外貨建て社債の発行増加も外貨需要を押し上げた。
円相場は7月に1ドル=163円台まで下落し、39年ぶりの安値を記録した。政府と日銀は同月末に円買い介入に踏み切ったが、1ドル=75円台だった2011年に比べると、円の価値は半分以下に下落している。市場では、家計と企業による外貨資産の拡大が一時的な投資行動にとどまらず、構造的な円売りにつながる可能性があるとの見方が出ている。円安を懸念して外貨を買う動きが強まるほど、さらに円安が進む流れが定着しかねないとの指摘だ。


