米AI大手3社、ロビー支出3年で30倍 上半期13兆円超

米国では、主要な人工知能(AI)企業が政策決定に影響力を及ぼすため、数百万ドル(数億~十数億円規模)を費やしてロビー活動を行っていることが分かった。
日本経済新聞(日経)は13日、ロビー活動報告書を基に「今年上半期、Anthropic、OpenAI、NVIDIAの3社がロビー活動に使った金額は829万ドル(約13億2,000万円)と集計された」と報じた。
これは3年間で30倍に増えた数字で、Anthropicが353万ドル(約5億6,300万円)、OpenAIが222万ドル(約3億5,400万円)、NVIDIAが254万ドル(約4億500万円)をそれぞれ支出した。
Anthropicのロビー支出は前年同期比2.7倍となり、増加が最も目立った。今年2月、Anthropicが自社AIモデル「Claude」の軍事的活用範囲をめぐってドナルド・トランプ政権と衝突した後、事業への影響を最小限に抑えるための動きとみられる。
1~3月には主に連邦議会とホワイトハウスにロビー活動を集中していたAnthropicは、4月から米財務省と米商務省も主要なロビー対象に加えた。6月には米政府が高性能AI「Mythos」と「Fable」の稼働停止を命じると、輸出管理指定の解除を求めるロビー活動を行った。
Anthropicは半導体製造装置の対中輸出規制法案と「蒸留手法」の規制強化についてもロビー活動を行った。蒸留手法とは、高性能AIモデルの出力結果を学習し、低コストで類似した性能を実現する訓練方法だ。Anthropicは今年2月、中国のAI企業が蒸留方式で自社モデルの回答を無断抽出したと主張したことがある。
日経は「NVIDIAのロビー支出も前年同期比60%増加し、輸出許可制度の根拠となる米国輸出管理規則(EAR)が主要なロビー活動の対象だった」とし、「中国企業などが他国に設置されたAIを遠隔で使用できないようにする『リモートアクセス安全保障法』や、AI半導体の密輸を防ぐ『チップ安全保障法』についてもロビー活動を行った」と伝えた。
NVIDIAは、中国への自社半導体販売の拡大が米国の国益に資すると一貫して主張してきた。こうしたNVIDIAのロビー活動は、事業の障害となる対中輸出規制強化を緩めようとするものとみられる。
米国では、AIモデルの事前審査などの規制をめぐる議論が活発に行われている。最近では、一部のAIモデルが制御を逸脱してサイバー攻撃を行う事故が相次ぎ、AIの安全性と制御策を求める声が高まっている。


