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2026年8月21日(金) 東京 --

DeepSeekがAI利用料を引き上げ 利用急増、演算資源不足が背景か

引用:DeepSeek
引用:DeepSeek

AI・半導体関連株を揺るがした中国のディープシーク(DeepSeek)が、新たな人工知能(AI)モデル「DeepSeek-V4-Pro-0813」を公開し、料金を引き上げた。新プロモデルの価格は100万トークンあたり通常の入力は3元(約71円)、出力は6元(約142円)で、過去の処理内容を再利用するキャッシュ入力は0.025元(約0.59円)だ。また、ユーザーが集中し応答時間が長くなるピーク時間帯(午前9時~正午、午後2時~6時)の料金は一般入力9元(約213円)、出力27元(約638円)と大幅に上昇した。さらに、安価なV4フラッシュモデルもピーク時間帯の価格を4倍に引き上げることを決定した。

今回の値上げは、利用者の急増による避けられない措置との見方も出ている。ディープシークは最新のNVIDIA製GPUの輸入が難しい中、H100換算で約20,000基規模の計算資源を使ってサービスを提供してきた。それでも西側モデルに匹敵する高性能と非常に安価な価格設定で、ユーザーが殺到した。ディープシークはトークン使用量でGoogleやOpenAIを上回り、最近は月間使用量基準でAnthropicに次ぐ2位を占めるまでになった。

その秘訣は、少ない計算量で高い性能を発揮するモデルにある。最近公開された「V4-Flash-0731」は、総パラメータ数が2,840億個にとどまるにもかかわらず、数兆個のパラメータを持つと推定されるAnthropicの「Opus」に匹敵する性能を発揮している。このように限られた演算資源で高性能なサービスが可能だった理由は、MoE(Mixture of Experts)構造にある。

MoEは、モデル全体のパラメータのうち一部だけをトークンごとに活性化させることで、計算量を抑える構造で、同じハードウェアでより多くのトークンを生成できる。V4-Flash-0731の場合、実際に活性化されるパラメータは約130億個に過ぎない。さらにハードウェア最適化のためにアテンションやメモリを最適化し、KVキャッシュを削減した。また、有料サービスで重要となるコーディングやツール利用の性能を高めるため、これらに特化した追加学習を行った。そしてDSpark(推測デコーディング)などの技術も取り入れ、限られたハードウェアで性能を最大限に高めることができる。

しかし、これもユーザーの集中により限界に達している。さらにDeepSeek-V4-Pro-0813はモデルパラメータが1.6兆個に達し、MoE構造を持っていても活性パラメータが490億個に及ぶ。いくらハードウェア最適化を行っても、限られた演算資源で世界中からの需要を満たすには不十分だ。

結局、ディープシークは価格を全体的に引き上げて需要を分散させ、そこで得た資金で追加の演算資源確保に乗り出したと解釈される。現在、NVIDIAチップの輸入禁止により、ディープシークが選択できる代替案はHuawei GPUだ。代表的な製品はAscend 950で、ディープシークによるとAscend 950の4台がNVIDIA GB 300の1台の性能に相当するという。なお、このGPUにはCXMTメモリが使用されている。

これに先立ち5月の投資家向け電話会議の漏洩資料で、ディープシーク創業者の 梁文峰氏が「Huaweiが約1万6,000枚のAscend 950カードを割り当てた」と述べたと報じられた。したがって、GB300換算で約4,000台分の計算資源を追加で確保したとみられるが、西側の大手ハイパースケーラーと比べると、非常に限られた規模にすぎない。もちろん、こうした限られた演算資源でありながら最適化を通じてトークン消費量2位に躍進した点を考えれば、ディープシークがAI業界の無視できないダークホースであることが理解できる。

価格引き上げによって収益を改善した後、ディープシークは株式市場への上場を目指すとみられている。現在、来年の上場を目指してIPOを準備中とされており、これを通じて株式市場から巨額の資金を調達すると見込まれる。そうなれば、弱点と指摘されていた演算資源確保のための資金も十分に調達できる。Huawei GPUは同性能のNVIDIA GPUより高価とされているが、優れたモデル効率性を考慮すれば十分に西側モデルと競争できるという計算があるのだろう。

ただし、その前に価格を引き上げても十分にユーザーを維持できる性能を示す必要がある。最近、OpenAIはGPT-5.6の一部モデルの価格を大幅に引き下げ、中国発の低価格AIとの競争を強めている。KimiK3やアリババのQwenなど、中国国内の他の競合も侮れない相手だ。ディープシークが他の競合を押さえてトークン使用量のシェアを高められるか注目される。

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