ChatGPT頼みから「国産AI」へ…Sakana AIを10万社に普及する構想
住友商事・SCSK・Sakana AIが業務提携住友商事の顧客基盤を活用、「国産AI」の導入拡大
大手総合商社の住友商事と人工知能(AI)開発企業のSakana AIが提携し、「国産生成AI」の普及に乗り出す。企業の機密情報流出への懸念や、日本語や日本特有の業務環境などから海外製の生成AIの活用には限界があるとの指摘が出る中、10万社に上る顧客網を基盤に市場を拡大する構想だ。
10日、日本経済新聞(日経)によると、住友商事とシステム開発子会社のSCSKはSakana AIと業務提携した。Sakana AIがAIモデルの開発・設計とアプリケーション(アプリ)開発を担当し、SCSKが顧客企業のデータ整備や既存システムとの統合を担う。住友商事は国内外の顧客企業との橋渡しを担う一方、自社事業を通じて都市開発などの社会インフラ分野でもAIの活用を進める予定だ。
3社はまず、金融や製造業など、セキュリティーや信頼性に対する要求水準が高い顧客企業を対象に導入を進める。大企業から始め、徐々に中堅・中小企業へサービスの導入を広げる計画だと日経は伝えた。

顧客企業の増加に伴い、システムやソフトウェア(SW)の脆弱性を診断し、修正を支援するセキュリティーサービスの開発にも乗り出す。さらに、企業ごとに異なるニーズや業務に合わせたAIサービスの共同開発でも協力を続ける。SCSKが販売する統合基幹業務システム(ERP)やセキュリティー製品にSakana AIの技術を組み合わせるという。
国産AI企業であるSakana AIは、海外の先端モデルに匹敵すると評価される高性能AIの開発技術を強みとしている。6月には、複数のAIを組み合わせて最適な結果を導き出す「Sakana Fugu」を公開した。
日経は、今回の提携には海外製AIへの依存度を下げ、日本企業による生成AIの活用を促す狙いもあるとした。同紙は「日本企業のAIを活用した業務改革は、米国や中国など他国に比べて遅れている」と指摘した。総務省によると、生成AIを活用して業務改革に取り組む日本企業の割合は54%で、米国の76%、ドイツの69%、中国の73%を下回っているという。
特に、業務で生成AIを活用する場合、AIが社内の機密情報にアクセスし得るため、これまで日本企業は情報流出やセキュリティー面を懸念してきた。海外製の生成AIを導入しても、日本語や日本特有の利用・業務環境に十分対応できず、期待した効果を得られなかった事例もあると日経は説明した。
さらに、AIを巡る経済安全保障上の問題が浮上していることも、国産AIの普及を後押ししている。米政府が最近、米アンソロピックの「Claude Mythos」について、外国人の利用を停止させたことで、海外企業が開発した先端AIをいつでも利用できる保証はないとの懸念が国内でも高まっているためだ。
日経は「3社はAIを活用した業務効率の改善を支援する」とし、「AIを利用したシステムの設計から実装、運用まで、すべての工程を一貫して提供することを目指している」と伝えた。
