中国の台湾侵攻リスク「2030年代に一段と高まる」…防衛研究所専門家が警告
戦争分析で軍事的弱点を補完、核戦力増強後は「習主席の判断次第で不幸な事態も」

中国による台湾侵攻のリスクは、2027年よりも、軍事的な弱点が補われる2030年代の方が一段と高まる可能性があるとの、防衛省防衛研究所の専門家による分析が出た。中国が核戦力を米国と同レベルに引き上げた後、米国が介入する可能性は低いと判断すれば、習近平国家主席が軍事行動を決断する可能性があるとの警告だ。
11日、日本経済新聞によると、中国政治に詳しい防衛省防衛研究所の杉浦康之アジア・アフリカ研究室長は10日、ラジオNIKKEIのポッドキャストで「2030年代には中国が台湾に対して軍事行動を起こす可能性が高まる」との見方を示した。
米国防総省は2025年12月の報告書で、中国人民解放軍が2027年までに台湾侵攻を可能にする態勢の構築に向け、着実に進展していると評価した。
しかし、杉浦室長は「人民解放軍はまだその準備が整っておらず、必ず2027年に行動しなければならない理由もない」と指摘した。2027年は人民解放軍建軍100周年に当たり、習主席が示した軍の現代化目標の時点であり、実際の侵攻期限と断定するのは難しいという意味だ。
杉浦室長は、中国軍がロシア・ウクライナ戦争や米軍のベネズエラ・イラン軍事作戦を分析し、戦力面で不足している部分を把握していると分析した。続けて「現在のペースであれば、2030年代には人民解放軍に不足している要素がかなり補われるだろう」と見込んだ。
中国による急速な核戦力の増強もリスク要因として挙げた。杉浦室長は「核戦力が米国と同レベルになれば、中国は米国が台湾を守るために介入しないと考える」とし、「その時、習主席が『できる』と判断すれば、不幸な事態が起こる可能性がある」と警告した。
中国軍首脳部の相次ぐ粛清も、誤判断の可能性を高める要因だ。人民解放軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会では、習主席を含む委員7人のうち5人が失脚する異例の状況が続いている。習主席が直接任命した軍幹部まで解任され、軍内部の異論や正確な戦況判断が最高指導部に伝わりにくくなる可能性があるという。
日経は「習主席の4期目が有力な状況で、2030年以降も最高指導者であり続けるなら、台湾有事が起きるかどうかが、今以上に習主席個人の判断に左右される可能性がある」と分析した。
