
電気自動車(EV)の充電方法によって、5年後、10年後の一充電航続距離が変わる。だが、多くのドライバーが無意識に繰り返す充電習慣がバッテリーの寿命を少しずつ縮めかねない。
最初に注意すべきは「100%完全充電を日常化する習慣」だ。電気自動車のバッテリーに使用されるリチウムイオンセルは、充電量が極端に高い状態や低い状態よりも、中間帯で最も安定して動作する。バッテリーを100%充電した状態で長時間維持すると、セルに高い電圧ストレスが持続的にかかり、バッテリー容量を恒久的に低下させる化学的劣化を促進するおそれがある。
このため、ほとんどの自動車メーカーは日常的な充電上限を約80%に設定し、100%充電は長距離走行の直前にのみ活用することを推奨している。毎晩充電器につないだまま朝まで100%の状態で放置し続けると、長期的には一充電航続距離が徐々に短くなっていく。

逆に、バッテリーを過度に放電させる習慣も好ましくない。バッテリー残量がほぼ0%近くになるまで使い続けてから充電する方法は、セルに別のストレスを与える。特に非常に低い充電状態で数日または数週間車両を放置すると、さらに放電が進み、「深放電(ディープディスチャージ)」状態に陥るおそれがある。これはバッテリーの状態に深刻なダメージを与えかねない。日常の走行時はもちろん、長期間駐車する際も、バッテリー残量は上限・下限に張り付かせず、中間帯に保つのが理想的だ。
急速充電も必ずしも良い選択ではない。直流(DC)急速充電器は長距離移動中には非常に便利だが、毎日使用する充電方法として設計されたものではない。短時間に大電流をバッテリーパックへ送り込む過程で熱が生じ、熱はバッテリーの寿命を縮める主要な原因のひとつだ。
急速充電に頼りがちなドライバーは、自宅や職場での普通充電を中心に使うドライバーと比べ、バッテリー性能の低下をより早く実感することになりかねない。急速充電は必要な場面に限り活用し、日常の充電はできる限り自宅や職場での普通充電を基本とするのが望ましい。

見落とされがちな点だが、電気自動車のバッテリーは温度に敏感だ。炎天下での充電や長時間の駐車はバッテリーの劣化を早めるおそれがある。一方、バッテリーが極端に冷えた状態での充電もセルに負荷をかけるとされる。
最近の電気自動車のほとんどにはバッテリー熱管理システムが搭載されており、一部の車両はバッテリーの事前温度調整機能もサポートしている。予約出発機能や事前温度調整機能を、車両が充電器に接続された状態で使用すると、バッテリー電力を使わずに外部電力を活用して適正温度を維持できる。夏場には日陰や車庫に駐車するといった簡単な習慣だけでも、長期的なバッテリー管理に役立つ。
電気自動車のバッテリーを長持ちさせるためのポイントをまとめると、日常の充電上限を約80%に設定し、バッテリーが完全に放電しきる前に充電するのが望ましい。また、日常の充電は普通充電を基本とし、急速充電は長距離移動など必要な場面でのみ活用するのが良い。

予約充電機能を活用して出発時間に合わせて充電が完了するよう設定するのも有効だ。車両が夜通し100%充電状態で放置される時間を減らせる。費用のかからないちょっとした習慣だが、車両内で最もコストの高い部品のひとつであるバッテリーの寿命を確実に延ばすことにつながる。
充電習慣に加え、EV全般の管理で押さえておきたい点もいくつかある。重量のある電気自動車の特性上、タイヤローテーションは依然として重要であり、自車の駆動系がどのように機能しているかを把握しておくことも大切だ。また、電気自動車にも補機用の12Vバッテリーが搭載されており、これが放電すると始動できなくなる場合がある。その際はガソリン車と同様にジャンプスタートが必要になるケースもある点も覚えておきたい。











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