
信号のない横断歩道の前で、依然として40%以上のドライバーが歩行者に道を譲っていないという調査結果が出た。その背景には、道路に描かれたひし形(◇)表示の意味を知らないドライバーが多いという実態がある。単なる模様のようにも見えるが、実際には安全運転のための重要な予告表示だ。このマークの意味と関連規定を整理した。
ひし形表示は何を知らせているのか
道路に白線で描かれたひし形表示は、「この先に信号のない横断歩道または自転車横断帯がある」ことを知らせる予告表示だ。基本的には横断歩道の約30メートル手前に1つ、さらにその10〜20メートル手前に1〜2つを段階的に配置する。前方に歩行者が道路を横断する地点があることをあらかじめ知らせ、注意を促す役割を持つ。

ただし、この表示がすべての横断歩道の前にあるわけではない。主に信号機がない場所や、カーブの先にあって横断歩道の存在に気づきにくい道路に描かれる。つまり、ひし形表示が見える場所は、歩行者との接触事故が起きやすい地点だと言える。
見落とせば違反点数2点、反則金9,000円が科される
道路交通法第38条は、こうした場所での走行ルールを厳しく定めている。横断しようとする歩行者がいないことが明らかな場合を除き、車両は横断歩道の直前で停止できる速度で進行しなければならない。実際に歩行者や自転車がいる場合は、必ず一時停止して通行を優先する必要がある。横断しようとする歩行者がいるにもかかわらずそのまま通過すると、「横断歩行者等妨害等違反」に該当し、違反点数2点と普通車で反則金9,000円が科される可能性がある。

見落としやすい規定もある。横断歩道の手前で停止している車両がある場合、その横を通過する前に必ず一時停止しなければならないという規定だ。停止車両の死角から人が飛び出す危険を防ぐためのルールで、横断歩道の手前30メートル以内での追い越し・追い抜きも法律で厳しく禁止されている。
一時停止率は56.7%にとどまる
日本自動車連盟(JAF)が2025年に実施した調査によると、信号のない横断歩道での一時停止率は全国平均56.7%で、過去最高を記録した。年々改善しているものの、裏を返せば、今も4割以上のドライバーが歩行者を優先できていないことになる。

こうした現状を裏づけるような調査結果もある。山梨県警が2020年、警察署を訪れた男女約2,600人を対象に実施したアンケートでは、道路に描かれたひし形表示の意味を正しく答えた人は4割にも満たなかった。多くのドライバーが、この重要な表示を「ただの模様」と受け止めたまま運転している実態が浮き彫りになった。
道路に描かれたひし形は単なる記号ではなく、その先にいる人の安全を守るためのサインだ。運転中にひし形表示を見つけたら、まずアクセルを緩め、周囲を確認する準備をすることが重要になる。自分の運転がこの小さな表示の意味を正しく読み取れているか、一度確認しておく必要がある。











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