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ヤマハが撤退し、トヨタが入る 欧州製の4分の1の値段で広がるカート競技の裾野とは?

佐藤 彩 アクセス  

引用:GAZOO
引用:GAZOO

トヨタ自動車が子どもから大人まで楽しめるレーシングカート「GRカート」を2026年秋に発売する予定だ。競合製品の4分の1の価格に抑えたモータースポーツ入門用マシンで、自動車ファンの裾野を広げる狙いがある。

トヨタは子どもから大人まで楽しめるレーシングカートを2026年秋に発売する予定だ。TOYOTA GAZOO Racing(GR)で開発され、「GRカート」という名称で販売される。一般公道を走るものではなく、カート競技場(サーキット)専用の競技用マシンとなる。

最大の特長は価格だ。販売価格は30万円台後半で、通常150万円程度とされる欧州製カートの4分の1に当たる。トヨタは愛知県蒲郡市の専用工場で年間1,000台以上の生産を目指している。販売は全国のカート競技場と、トヨタのスポーツカーを取り扱う販売店「GRガレージ」で行われる予定だ。

家庭で扱いやすく設計された点も特徴だ。GRカートは「ノア」「ヴォクシー」などのミニバンの荷室に収まるサイズで、車体を立てて保管できる。大人1人で積み下ろしができるため、親子での遠征も容易になる。子どもが自ら整備できるよう、専用工具の開発も検討されている。エンジンはカーボンニュートラル燃料に対応するガソリン仕様から始まり、将来的には水素エンジン仕様も検討している。

注目されるのは、成長分野ではなく縮小傾向にある分野に参入する点だ。カート競技人口は年々減少しており、国内で唯一レーシングカートを手がけてきたヤマハ発動機は、2027年12月末でカート事業からの撤退を表明している。その空白をトヨタが安価な普及型モデルで埋めることで、参入障壁を下げ、競技人口の裾野を広げる戦略だ。自動車メーカーがレーシングカートを商品化するのは世界的にも異例とされる。

トヨタはGRカートを一過性の商品にとどめず、事業として育てていく方針だ。GRカートは2027年から入門クラスの「SLカートレース」に組み込まれ、若いドライバーたちが本格的な競技へ進む足がかりとなる。カートは運転の基礎を学ぶモータースポーツの出発点であり、世界のトップドライバーの多くが幼少期にカートで腕を磨いてきた。トヨタにとっては将来の顧客基盤の拡大につながるのはもちろん、次世代のレーサーや技術者の育成にも貢献する取り組みといえる。

GAZOO Racingはトヨタがモータースポーツを通じて「もっといいクルマづくり」と人材育成を追求するという理念を掲げたブランドだ。トヨタはGRヤリス・GRカローラ・GRスープラなど高性能車を次々と投入しており、2025年12月にはフラッグシップスポーツカー「GR GT」を世界初公開した。2027年頃の発売を目指している。

グループを率いる豊田章男会長は自ら「モリゾー」の名で競技に出場する「マスタードライバー」を自称するほど、クルマの楽しさを訴え続けてきた。GRカートは、GRシリーズの入門モデルとして、子どもたちをモータースポーツへいざなう入り口の役割を果たす。

佐藤 彩
content@dailyview.net

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