中国のAI俳優、広告に進出 「実際に使えない」カラーコンタクト紹介で波紋

中国で人気を集めた人工知能(AI)のバーチャル俳優が、カラーコンタクトレンズの広告に登場し、「一日中着用しても快適だ」と紹介したことで、物議を醸している。実際の目を持たないバーチャルキャラクターが、商品を直接使用したかのように広告したとの指摘が相次ぎ、該当の動画はSNSのアカウントから削除された。
11日(現地時間)の中国・澎湃新聞によると、AIショートドラマ『解雇された少女(被裁掉的女孩)』の主人公「ファン・タオズ(方桃子)」が最近、自身のSNSにカラーコンタクトレンズの広告動画を投稿した。
『解雇された少女』は累計再生数2億回を突破し人気を博したAIドラマで、主人公のファン・タオズも作品のヒットと共に有名になり、ドラマの外でもSNSでファンを獲得し、広告契約まで結んだ。身長173㎝、20歳に設定されたファン・タオズの個人SNSアカウントは、開設からわずか30日でフォロワー数が42万人を突破した。
問題となった動画でファン・タオズは、特定のカラーコンタクトレンズを紹介し、「一日中着用しても快適」、「レンズにハイライト軸が採用されているので、安心してまばたきできる」と説明した。ドラマ仕立てで製品を自然に登場させる、いわゆる「ストーリー型広告」だった。
しかし、動画を見たネットユーザーからは、AIで作られたバーチャル俳優には実際の目がないため、レンズを着用することも、着用感を感じることもできないとの指摘が相次いだ。実在しない使用体験をもとに製品を薦める広告を信頼できるのかという批判も相次いだ。
広告の信頼性とともに話題となったのは、ファン・タオズの広告契約料だった。アカウントに公開された60秒以上の商業動画の広告掲載料は25万8,000元(約609万6,000円)で、実在する有名インフルエンサーよりも高い水準だった。
今回の事例を受け、AI俳優がすぐに有名俳優に取って代わるというよりも、商品紹介動画や広告撮影を主な仕事とする中堅インフルエンサーや無名俳優の仕事に先に影響を与える可能性があるとの見方も出ている。
業界では、ファン・タオズがドラマのヒットやキャラクターの確立、ファンの獲得、広告契約、そして今回の騒動に至るまで、AIバーチャル芸能人の活動過程を幅広く示した事例だと評価している。ドラマの登場人物が現実の広告市場に進出したことで、AI俳優がどこまで実在する芸能人の代わりを務められるのかを試す先行事例となった。
一方、騒動が拡大した後、この広告動画はファン・タオズのSNSアカウントから削除された。
