
米国の政界では最近、中国産電気自動車の市場参入を完全に封じ込めようとする動きが顕在化し、北米市場を視野に入れたグローバルな自動車サプライチェーンに動揺が広がっている。
海外メディアの報道を総合すると、米議会は中国産電気自動車の物理的な流通のみならず、ソフトウェアを搭載したすべてのコネクテッド車両の国内進入を遮断する法案の推進に動いている。関税障壁の引き上げにとどまらず、米中対立がサプライチェーン全体へと波及しつつあることを示す動きと受け止められている。
相次ぐ規制強化の動き――経済を超えた安全保障問題として浮上
今回の法案の核心は、コネクテッド車両に対する規制強化だ。
ミシガン州選出のヘイリー・スティーブンス下院議員とエリサ・スロットキン上院議員が共同提出した「Protecting America from Chinese Cars Act(中国産自動車から米国を保護する法)」は、中国で製造または設計された車両、あるいは中国企業の持分が15%以上を占める企業が製作した車両の米国内進入を禁止する内容を含む。
スロットキン議員は対象車両を「車輪のついた監視装置」と位置づけ、位置追跡や映像収集、重要な軍事施設の位置情報の取得が可能であることから、経済問題を超えた国家安全保障上の問題だと強調した。また、メキシコにおける中国産車両のシェアが一定程度まで上昇していることを踏まえ、これを米国市場進出に向けた迂回経路と見なし、強力な規制が必要だと訴えた。
専門家の間では、今回の動きが2026年のUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)再交渉をにらんだ戦略的な行動との見方が広がっている。
アビ・バロン・トロント大学ロットマン経営大学院教授は最近のメディアとのインタビューで、「米国市場における中国産部品とソフトウェアへの依存度を考慮すると、これは非常に攻撃的でポピュリスト的な政策だ」と指摘した。
カナダ経由論の遮断――100%関税の脅威が現実味を帯びる
今回の法案が特に注目される背景には、北米市場が持つ構造的な特性がある。中国産電気自動車がカナダやメキシコを経由して米国に流入する「抜け道」への懸念はかねてから指摘されており、今回の法案はその封じ込めも視野に入れている。
今年1月、マーク・カーニー首相が北京を訪問し締結した中国製EV輸入枠の合意は、米側の強い反発を呼んだ。ドナルド・トランプ大統領はカナダのこの動きに対し、「カナダが中国の輸出経路になるなら、カナダから入るすべての商品に100%の関税を課す」と強く警告している。
カナダ政府がキャノーラ種子の関税引き下げを条件として中国製EV年間4万9,000台の輸入を認めた合意が、北米全体の貿易摩擦に発展しかねないとの懸念も出ている。
高まる市場の不確実性――法案の行方と波及効果
法案が実際に成立するまでには、上下両院での審議と最終承認というプロセスが残っている。ただ、議会内で中国の影響力を遮断すべきとの超党派の合意が形成されつつあることから、単なる政治的なポーズとは受け取れないとする見方が大勢を占めている。
北米自動車産業の中核を担うミシガン州を中心に、中国車流入を阻止すべきとの世論が法案推進を後押ししているとされる。今後、米国政府が規制対象の基準をどのように設定し、カナダとメキシコがいかに対応するかによって、グローバルEV市場の勢力図は大きく塗り替えられる可能性がある。
法案が最終的に成立した場合、完成車メーカーのサプライチェーン多様化への圧力がさらに強まるとの分析がある。ソフトウェアの制御権やデータ主権が自動車製造の本質的な競争軸として浮上するなか、世界の自動車メーカーの事業戦略にも根本的な見直しが迫られるとの指摘も出ている。











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