「GPU3万台で原発1基分」台湾のAI競争力は16位 半導体大国が日本に後れる理由

半導体製造大国として人工知能(AI)ハードウェアのサプライチェーンを抱える台湾で、自国のAIインフラ整備が遅れているとの指摘が相次いでいる。特に近隣の日本や韓国と比べ、投資のスピードや規模で後れを取っていることに危機感が強まっている。
10月1日(現地時間)、台湾紙・聯合報によると、前日に台湾通信学会が主催した「2026テック・ソブリン・サミット」で、台湾は「ソブリンAI」の発展を掲げているものの、コンピューティング(演算能力)や電力インフラの整備で遅れを取っているとの指摘が出た。
台湾デジタル発展部の黄彥男前部長は、英国が今年発表した「グローバルAI指数(Global AI Index)」のランキングを引用し、台湾は16位にとどまり、1位の米国、2位の中国に加え、3位のシンガポール、5位の韓国、11位の日本にも大きく後れを取っていると指摘した。台湾のAI競争力が低い背景として、黄氏はコンピューティング(演算能力)と電力の不足を挙げた。
黄氏は、「日本は現在4万台を超えるGPUを保有している。韓国もソブリンAIの発展を掲げ、NVIDIAから26万台のGPUを購入しているのに対し、台湾は約3万台にとどまる」と述べ、演算能力の規模で日本や韓国など近隣国に後れを取っていると指摘した。
台湾が高い製造能力を持ちながら、十分な演算能力を確保できていない背景には、ハイパースケーラー(大規模データセンターを運営する企業)がAIチップの供給を押さえていることがある。NVIDIAは、2027年までにTSMCが生産する先端パッケージング技術「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」の生産能力の半分以上を、すでに確保しているとされる。
電力不足も、台湾産業が抱える慢性的な課題の一つだ。黄氏は「3万台のGPUを稼働させるには、原子力発電所1基分に相当する1GW(ギガワット)を超える電力が必要だ」と説明した。
地震が頻発する台湾では、2011年の福島第1原発事故以降、脱原発を推進し、昨年5月に脱原発目標を達成した。現在、液化天然ガス(LNG)火力の発電量が全体の半分にまで増えているが、イラン情勢などを背景に供給が不安定な状況にある。台湾のLNG輸入依存度は100%に上る。
こうした課題により、台湾のAI発展は停滞している。台湾の1人当たりAI利用度は、昨年の2.29から今年は2.08に低下した。同じ期間に日本は1.86から1.91に、韓国は3.73から3.78に、シンガポールは4.57から5.81にそれぞれ上昇しており、対照的な結果となった。
台湾貿易センター(TAITRA)の黄志芳理事長は以前、こうした台湾の状況を「ハードウェアの巨人、応用の小人」と批判したこともある。
台湾政府はこの問題を認識し、コンピューティング能力の拡充に注力している。台湾デジタル発展部の林怡君部長は同日のサミットで、政府が「台湾ソブリンAIの学習に向けたコーパス(統合データベース)」の構築を進めていると明らかにした。また、民間投資を誘致し、1年以内に台湾国内で1万台以上のGPUを確保する計画だと述べた。
