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2026年9月10日(木) 東京 --

「より迅速で、より痛み伴う報復を」…追い詰められたイラン、危険な選択へ

引用:AFP通信
引用:AFP通信

米国による海上封鎖で経済的な圧力を受けているイランが、対米強硬姿勢を一段と強めている。主要な収入源である原油輸出が滞り、ホルムズ海峡での支配力も弱まる中、経済・安全保障上の危機が同時に深まったことで、米国との軍事的な対立をエスカレートさせ、主導権を取り戻そうとしているとの分析が出ている。

8日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、イランは5日、米海軍の空母や駆逐艦など軍艦2隻を弾道ミサイルで攻撃した。その後、イラン指導部から対米強硬発言が相次いだ。

イランの対米交渉代表であるモハンマド・バーゲル・ガーリーバーフ議会議長は6日、「比例的な対応の時代は終わった」と述べた。さらに、「イランの利益と安全に対するいかなる侵害も、より迅速で、より強力かつ痛みを伴う対応を受けることになる」と警告した。

最高国家安全保障会議(SNSC)のモフセン・レザイ書記も、ホルムズ海峡の外側に新たな制限区域を設定する予定だと明らかにした。イランとの事前協議なしに同区域へ進入する船舶は制裁対象になるとも述べた。

原油輸出が止まり通貨価値が下落…経済がイランを崖っぷちに

イランが強硬路線に転じた背景には、ますます深刻化する経済難があるとの分析が出ている。

米海軍の封鎖により、イラン経済の主要な収入源である原油輸出が事実上止まる中、燃料不足も重なり、ガソリン価格も上昇した。インフレや失業、通貨価値の下落も重なり、この状況が続けばイラン経済が回復困難な打撃を受ける可能性があるとの懸念が強まっている。

問題は経済だけではない。イランが長年影響力を行使してきたホルムズ海峡でも、従来のような支配力を維持できなくなっている。米海軍の護衛の下、少数のタンカーが海峡を通過しており、イランが海峡を全面的に支配することがますます難しくなっている。

ジュネーブ国際・開発研究大学院のイラン研究者ファルザン・サベット氏は、イランが主導権を取り戻すためには、戦闘を拡大させることが一つの手段になり得ると分析した。イランが全面戦争を覚悟するというより、軍事的な対立をエスカレートさせる形で圧力をかける可能性があるという。

サベット氏は、イランの選択が「非常に破壊的」なものになり得る一方、それによって国際原油価格を押し上げたり、ホルムズ海峡を再び完全に封鎖しようとしたりする可能性があるとみている。

11月の米中間選挙が分岐点?…イラン指導部「今が適期」と判断

イラン指導部の内部では、11月の米中間選挙を前にした今が、賭け金を引き上げる好機だとの認識も広がっていると伝えられている。ドナルド・トランプ米大統領が中間選挙後に再び強硬路線に戻る可能性があるとの判断が背景にある。

英国に本部を置く中東専門メディア、アムワジ・メディアのモハマド・アリ・シャバニ編集長は「すべての状況は、今が決定的な分岐点であることを示している」と述べた。外交が失敗した場合、イランが選挙後まで攻撃を延期するかどうかについては確信できないとした。

国際危機グループ(ICG)のハミドレザ・アジジ上級分析官も、米軍艦に対する弾道ミサイル攻撃を重大なエスカレーションの試みだと評価した。これまでイランは、米軍に大規模な人的被害をもたらす恐れのある攻撃を控えていたが、今回の攻撃を機にその計算が「明らかに変わった」と分析した。

イラン国内の不安も高まっている。経済難が長期化すれば、反政府デモが再び拡大する可能性があるためだ。実際、イランでは2025年12月末、通貨危機をきっかけに全国的なデモが発生した。

テヘラン大学でイスラエル・中東研究を専門とするハディ・ボルハニ教授は、イラン当局が、イスラエルが国内の不満を利用して反体制勢力を支援する可能性についても警戒していると伝えた。

ただ、双方の対立が続けば世界経済への打撃も大きくなるため、むしろ米国が緊張緩和に乗り出す可能性があるとの見方も出ている。

現在、米海軍の護衛の下、一部のタンカーがホルムズ海峡を通過しているが、イランの原油在庫の補充は十分なペースで進んでいないと分析されている。天然ガスなど他の商品の流通も滞っている状況だ。

こうした状況を受け、今後、米国とイランが4月に締結した終戦に関する覚書(MOU)よりも後退した水準であっても、新たな合意に向かう可能性があるとの見通しが示されている。

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