中国の太陽光独走に挑戦状…日本、耐久性を高めた次世代太陽電池を開発
東芝・信越化学が開発
太陽電池の寿命1.5倍に

日本企業が、中国に奪われた太陽光発電産業の主導権を取り戻そうと、次世代のペロブスカイト太陽電池を巡る耐久性競争に乗り出している。東芝と信越化学工業は、従来の世界最高水準の1.5倍となる耐久性を備えた太陽電池を開発した。中国が量産技術と価格競争力で先行する中、日本は高効率・高耐久の製品で差別化を図っている。
8日付の日本経済新聞によると、東芝と信越化学は新潟大学と共同で、世界最高水準の耐久性を備えたペロブスカイト太陽電池を開発した。東芝が発電部を、信越化学が封止材の製造を担当し、新潟大学が太陽電池を保護する封止技術を開発した。2030年代の製品販売を目指す。
今回開発した太陽電池は、摂氏85度、相対湿度85%という過酷な環境下で3,000時間経過した後も性能を維持した。これまでは、シンガポール国立大学と中国メーカーが発表した2,000時間が世界最高水準とされていた。ペロブスカイトは熱や湿気に弱く、長期間使用すると性能が低下することが実用化の障壁となっていた。
研究チームは、乾燥剤を使用した特殊な合成ゴムで太陽電池の外側を密閉する技術を採用し、耐久性を高めた。現在は発電部の大きさが約25平方ミリメートルの小型試作品を検証しており、今後は250平方センチメートル以上の実用サイズでも同様の性能を確保できるか確認する計画だ。最終的には20年以上の耐用年数を目指す。
東芝と信越化学が実用化を進めるのは、従来のシリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池を組み合わせた「タンデム型」だ。異なる波長の光を吸収する2種類の太陽電池を組み合わせて発電効率を高める方式で、薄く曲げることができるフィルム型ペロブスカイト太陽電池に比べ、理論上の発電効率は約30%高い。
日本企業は、高い耐久性と発電効率を武器に中国企業と競争している。カネカは2035年を目標に、発電効率40%を超える高性能製品を開発する計画で、長州産業も2030年度までに20年以上の耐用年数を確保する目標を掲げている。
政府もペロブスカイト太陽電池の普及を積極的に支援している。経済産業省は2040年までに、原子力発電所約20基分に相当する20ギガワット(GW)を国内に導入する目標を掲げている。2012年の固定価格買取制度(FIT)導入後に設置された太陽光パネルの交換需要が2030年代から増えると予想されることから、高効率のタンデム型が新たな市場を形成する可能性がある。
ペロブスカイト太陽電池は日本で生まれた技術だが、実用化競争では中国が先行している。中国企業は政府の手厚い補助金を背景に量産技術を蓄積しており、関連特許の件数もすでに日本を上回り、世界1位となっている。
日本はかつてシリコン太陽電池市場で世界的な競争力を持っていたが、中国の大規模な生産と価格競争に押されて主導権を失った。次世代太陽電池では同じ状況を繰り返さないため、耐久性、発電効率、量産技術を同時に引き上げる戦略だ。
東芝と信越化学は今後、実用サイズでの性能検証や量産技術の開発を通じ、コスト競争力も確保する計画だ。世界最高水準の耐久性という研究成果を実験室だけにとどめず、大量生産可能な製品につなげられるかが、中国との競争の鍵になるとみられる。
