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2026年9月11日(金) 東京 --

1人5,000ドルの「トランプショック」…米国発「9月国債危機説」に現実味

米10年債利回り一時4.97%、欧州でも長期金利が高水準…原油高と財政悪化への懸念が市場を圧迫

引用:EPA通信
引用:EPA通信

米国を含む先進国の国債利回りが急騰し、「9月先進国国債危機説」が浮上している。

10日(現地時間)、国際金融市場では米国、フランス、英国など主要先進国の国債利回りが軒並み上昇した(国債価格は下落)。米国10年債利回りは11bp(1bp=0.01%ポイント)上昇して4.95%を記録し、心理的な節目である5%に迫った。一時4.97%まで上昇した。30年債は8bp上昇して5.37%、2年債は15bp上昇して4.58%で取引された。30年債は19年ぶり、2年債は2年ぶりの高水準となった。

欧州でも国債利回りは上昇した。英国10年債利回りは11bp上昇して5.38%を記録し、2007年以来の高水準となった。ドイツ10年債も5bp上昇して3.49%と、2011年以来の高水準となった。フランス30年債は2003年以来、実に23年ぶりの高水準となった。

原油、一気に108ドル…米国、今月の利上げ確率70%

引用:AFP通信
引用:AFP通信

先進国の国債利回り急騰には、原油価格の上昇が大きく影響した。原油高は物価上昇を促し、中央銀行が利上げに動くとの見方につながる。こうした見方は、政策金利に敏感な2年債を中心に国債利回りを押し上げる。30年債のような超長期債の投資家は、将来的な貨幣価値の下落を考慮してより高い利回りを求めるため、長期国債の利回りにも上昇圧力がかかる。

10日、イランの支援を受けるイエメンのフーシ派が紅海沿岸の都市モカを制圧し、国際原油価格は6%を超えて急騰した。ブレント原油先物は107.63ドル(約1万7,000円)、米国産標準油種のWTIは102.48ドル(約1万6,000円)で取引を終えた。ブレント原油は一時108.77ドル(約1万7,000円)まで上昇した。

利上げ観測が強まったことも国債利回りを押し上げている。10日現在、市場が織り込む米国の9月利上げ確率は71%で、1日で10%ポイント以上跳ね上がった。米連邦準備制度理事会(FRB)は15~16日に会合を開き、政策金利を決定する。同日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を2.65%へ25bp引き上げ、追加利上げも強く示唆した。

米財務省のバイバック「焼け石に水」…国防予算に匹敵する1.2兆ドルをばらまくというトランプ大統領

引用:ロイター通信
引用:ロイター通信

米財務省が実施した国債バイバックの規模が市場の期待を下回ったことも、国債利回りを押し上げた。9日、米財務省は国債バイバックの規模を最大60億ドル(約9,263億3,000万円)と提示したが、10日の買い入れ額は51億9,000万ドル(約8,012億5,000万円)にとどまった。10日、財務省は30年債220億ドル(約3兆4,000億円)を入札にかけ、落札利回りは5.308%と、2001年以来25年ぶりの高水準を記録した。

財政健全性への懸念も国債利回りの上昇に拍車をかけた。10日、ドナルド・トランプ米大統領は11月3日の中間選挙で共和党が勝利した場合、全ての米国成人市民に5,000ドル(約77万2,000円)の配当金を支給すると公言した。米国の年間国防予算に匹敵する1兆2,000億ドル(約185兆2,000億円)の財源が必要になるとみられ、すでに深刻な財政赤字に苦しむ米国の財政状況をさらに悪化させるとの懸念につながった。日本経済新聞はこれを「トランプショック」と表現した。

原油高が「ニューノーマル」に…構造的な解決に向けた取り組みも見えず

引用:AFP通信
引用:AFP通信

問題は、先進国の国債利回り急騰を抑える切り札が見当たらないことだ。財務省は意欲的にバイバック拡大というカードを切ったが、10日も当初提示した規模を下回る買い入れにとどまった。市場では財務省の政策について、「戦車戦におもちゃの銃で挑むようなものだ」との評価も出ている。

さらに大きな問題は、米国政府が構造的な解決策に取り組む姿勢すら見せていないという点だ。専門家は、米国の国債利回り急騰を鎮めるには原油価格が下落する必要があるとみている。S&Pグローバルエネルギーは「イラン戦争の終結が不透明になり、原油価格が上昇する『ニューノーマル』に入っている」とし、「中東の原油生産量は来年末まで戦争前の水準に回復しないだろう」と分析した。

政府は支出を縮小し、財政赤字を削減する意志を示す必要があるが、その兆候も見えない。成人市民への配当金支給を打ち出したトランプ大統領は10日、100万人の米国人にオバマケアの過大請求分を1人当たり500ドル(約7万7,000円)ずつ還付すると明らかにした。FRBに対する市場の信頼を維持する必要があるが、トランプ大統領は「金利を下げなければ主要な赤字国との貿易を断絶する」と述べ、FRBに間接的に圧力をかけている。

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