トランプ大統領「カナダと近く合意」 カナダはEU「準会員国」構想
3行の要約
・米国とカナダ、200億ドル規模の報復関税を応酬
・トランプ大統領、カナダに米農家への関税撤廃を要求
・カナダ、EU「準会員国」構想で米国依存の軽減を模索

米国とカナダの関税を巡る対立が出口を見いだせない中、米国のドナルド・トランプ大統領は、カナダとの合意が近く成立する可能性があると明らかにした。一方、カナダは米国との交渉結果を待つだけでなく、欧州連合(EU)の「準会員国」となる案まで検討し、欧州との関係強化を加速させている。
トランプ大統領は12日(現地時間)、アイルランド・ダブリンで同国のミホル・マーティン首相と会談した後、カナダとの貿易合意が「かなり近いうちに(fairly soon)」成立する可能性があると述べた。米国が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)から離脱する可能性を問われると、「メキシコとは素晴らしい関係を築くことになるだろう。カナダとも良好な関係を築いている」と答えた。ただし、USMCAから離脱するかどうかについては直接答えなかった。
トランプ大統領は合意の条件として、カナダに米農家への待遇改善を要求した。「カナダはわれわれの農家をもっと適切に扱うべきであり、われわれの農家に関税を課すべきではない」と述べた。正式な交渉が再開されたかどうかや、合意にどの品目が含まれるのかについては明らかにしなかった。
両国は先月、貿易交渉が土壇場で決裂した後、報復措置を応酬した。米国は約200億ドル(約3兆800億円)規模のカナダ産製品に50%の関税を課し、カナダも8日、約200億ドル相当の米国産製品に報復関税を課した。米国はさらに、カナダ産の酒類や一部の乳製品、排気量800ccを超えるオートバイなどについて、29日から輸入を禁止することを決めた。
対立が長期化する中、カナダのマーク・カーニー首相は米国との交渉だけに頼らず、EUとの関係強化に乗り出した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、カーニー首相はここ数か月、フランス、ドイツ、イタリアなど欧州主要国の首脳と、カナダをEUの「準会員国(Associate Member)」と位置付ける案について協議した。
この構想はEUへの正式加盟や単一市場への参加ではなく、既存の自由貿易協定の範囲を大幅に拡大することを目指すものだ。双方の実務者は、エネルギーや人工知能(AI)、重要鉱物、防衛産業などの戦略分野で、カナダの商品やサービス、人材の移動に関する障壁を引き下げる案を検討している。海底データケーブルやデータセンター、クラウドストレージ施設、衛星網を共同で構築する案も協議している。カナダはすでにEUと包括的経済貿易協定(CETA)を締結しているが、カーニー首相は両者の関係を経済や安全保障全般にわたる連携へ拡大しようとしている。
ただし、EUがカナダに正式な「準会員国」の地位を与えることで合意したわけではない。「準会員国」はカーニー首相が欧州各国の首脳に提案した呼称で、具体的な内容も実務協議の段階にある。EU内では、英国のEU離脱後、カナダに過度に有利な条件を認めれば、他国も同様の要求をする可能性があるとの懸念がある。また、米国を刺激する可能性も懸念材料となっている。交渉に参加したカナダ当局者はWSJに対し、「実務レベルや官僚組織で進む地殻変動だ」とした上で、「人目を引く作業ではないが、その結果は非常に大きなものになるだろう」と述べた。
