キオスク拡大の米ファストフード、「人による接客」へUターン
「人間味がない」との不満受け戦略修正、Z世代も対面サービス重視…マクドナルドやバーガーキングが接客強化

キオスクやモバイル注文に数百万ドルを投資し、「無人化」を進めてきた米国のファストフード業界が、再び従業員による対面サービスを強化している。迅速で便利なデジタル注文だけでは、顧客の再来店につなげることが難しく、親切な従業員との直接的なコミュニケーションを望む消費者も少なくないとの判断からだ。
9月10日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、マクドナルドは10月から同社史上最大規模の顧客サービス改善に着手する。マクドナルドのグローバル最高人事責任者、ティファニー・ボイド氏は「食事と価格も重要だが、顧客体験は以前よりはるかに重要になった」と理由を説明した。
マクドナルドは、従業員が顧客を積極的に出迎え、食事を終えて退店する際にも声をかけるよう教育する予定だ。2026年末からは、世界各地の店舗従業員や本社社員、取引先関係者など200万人以上を対象に再教育も始める。店舗従業員が自ら顧客に声をかけ、困っていることがないか確認するようにするとともに、加盟店の評価でも顧客サービスをより重視する方針だ。
これは、過去10年余りにわたって進めてきたデジタル化戦略の一部を修正する動きだ。マクドナルドは米国のファストフード業界で早くからキオスクやモバイルアプリによる注文を拡大してきた。デジタル注文は待ち時間を短縮し、顧客1人当たりの注文額を増やす効果もあったが、副作用も表れた。従業員が配達注文やドライブスルーへの対応に集中する中、店舗のカウンターに従業員が見当たらないことも増え、商品をカウンターで受け取るまで、従業員と言葉を交わさない顧客もいた。
マクドナルドの加盟店主団体が最近実施した調査では、顧客が店舗での体験を「せかされているようで、人間味がなく、無機質で冷たい」と評価していることが明らかになった。
デジタル注文に慣れた若い世代にも、こうした変化がみられる。市場調査会社テクノミックによると、親切な対面サービスを重視するZ世代のファストフード利用者の割合が増えている。
競合他社も動いている。バーガーキングは店舗のカウンターに従業員を配置し、注文内容が顧客の注文通りになっているか確認するよう指針を強化した。新しい店舗ではキオスクの一部を店内の脇に配置し、従業員が注文を受けるカウンターを維持することにした。ウェンディーズは、ドライブスルーに試験導入した人工知能(AI)が実際に顧客体験の改善につながっているかを改めて検証している。スターバックスも従業員教育を強化し、人員を増やすとともに、店舗環境を改善し、対面サービスを強化している。
業界がデジタル注文をなくそうとしているわけではない。キオスクやアプリの効率性は維持しながら、テクノロジーに過度に依存してきた運営方法を見直し、人による温かみのある接客を再び取り入れようとしている。ボイド最高人事責任者は「顧客が再び来店するかどうかを左右するうえで、店舗での体験ほど重要なものはない」と述べた。

