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2026年8月28日(金) 東京 --

7年で時価総額3倍 中東危機で日本の総合商社はどこまで伸びるのか

かつて「商社無用論」にさらされた総合商社が、脱グローバル化の時代を迎えて再び注目を集めている。地政学上のリスクで世界の供給網が揺らぎ、資源をめぐる国家間の競争が激しくなるなか、経済安全保障を支える民間の重要なインフラとして浮上している。

引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT

脱グローバル化の時代に総合商社が注目される

総合商社の存在感は、2月に始まった米国とイランの戦争で際立っている。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東産のナフサの供給に支障が生じると、化学メーカーから「ドラム缶1本でもいいから今すぐ欲しい」という要請が相次いだ。三菱商事は直ちに国内10カ所の備蓄タンクから在庫を放出した。不足分は韓国などから緊急に調達した。

住友倉庫は、ホルムズ海峡を迂回し、神戸港などからオマーンのサラーラ港まで貨物を海上輸送した後、陸路でサウジアラビア東部まで運ぶ新たな物流のルートを実用化した。

ナフサの輸入の約40%を担う丸紅も緊急の対応に入った。大本晶之社長は「供給網の維持が最優先だ」とし、目先の利益より数量の確保を優先した。

米国産の供給枠が世界の資源メジャーに押さえられているなかで、世界各地の取引網を生かし、ペルーとインドで新たな供給先を見つけた。一部の納入は遅れたが、原料の供給そのものが止まる事態は避けた。エネルギーの自給率が約15%にすぎない日本で、総合商社が原材料供給の非常時ネットワークとしての役割を果たしたことになる。

バフェット氏が見抜いた価値

日本の総合商社の再評価を象徴する人物がウォーレン・バフェット氏だ。バークシャー・ハザウェイは2019年から、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大総合商社に投資してきた。現在は各社の株式を約10%ずつ保有する主要な株主だ。7年で5社の時価総額の合計は3倍に膨らんだ。

業績も伴った。5大商社は、この5年間、合計で毎年3兆円以上の純利益を上げている。バフェット氏の後継者であるバークシャー・ハザウェイのグレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)も、日本の商社の株式を長期にわたって保有する方針を示した。

バフェット氏は、日本の総合商社に特有の事業の構造を高く評価したとされる。「ラーメンからミサイルまで」と言われるほど事業の領域が広い。エネルギーや鉱物、食品、機械だけでなく、流通、電力、不動産、防衛産業まで、一つの会社が世界各地で同時に事業を手がける。

「商社無用論」を超えて

商社は、日本に特有の産業の構造に根ざしている。資源に乏しい日本は、海外から原料を輸入して製品を生産し、世界市場で売る加工貿易で成長した。そのために、原料の調達から輸送、金融、販売網までをつなぐ企業が必要だった。近代化の立役者である坂本龍馬の「海援隊」までさかのぼる160年の歴史を持つ総合商社が、その役割を担った。

しかし、メーカーの海外ネットワークが強くなり、インターネットでの取引が広がった1990年代以降、状況は変わった。わざわざ間に商社を置く理由があるのかという「商社無用論」が、忘れたころに繰り返し出てきた。数多くの事業を一社で抱える構造も、投資家には分かりにくい弱みと受け止められた。

商社は、貿易の仲介から投資へと軸足を移した。自ら鉱山やエネルギーの開発に投資し、企業を買収し、消費者に近い流通の事業にも乗り出した。同時に、成長性が落ちたと判断した事業は思い切って手放し始めた。三菱商事が2024年にオーストラリアの原料炭の事業の一部を売却したのが代表的な例だ。

商社を見る海外の目も変わってきている。中国がレアアースや重要鉱物を通商上の武器として使うなど、国家間の資源の確保の競争が激しくなっているためだ。原料を安く仕入れて収益性の高い市場で売ることより「必要な時に物を確保できるか」が、企業にとっても国家にとっても課題になった。ドイツではBMWなどのメーカーが、自国の政府に対し、日本の総合商社の事業のやり方を研究する必要があると提案した。

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