「日本の長期金利3%でも株高は終わらない?」JPモルガン、S&P500「8000」予想を維持
日本の10年債が3%、ドイツが3.35%、英国が5.25%と長期の最高水準を記録
クライン氏「米国の名目の所得・支出が7%増加…AI投資の需要は堅調」
JPモルガン、S&P500の年末目標8000と新興国の比率拡大を維持

日本の10年債利回りが30年ぶりに3%に達するなど、世界の主要国の国債利回りが急騰したが、一部の専門家はこれを株式市場の上昇を止める決定的な悪材料とはみていない。JPモルガンは、金利上昇が強い景気の流れを映している面があるとして、S&P500種株価指数の年末の目標8000を維持した。
米マーケットウォッチは1日(現地時間)、経済学者のマシュー・C・クライン氏と、JPモルガンで世界の株式戦略を統括するミスラフ・マテイカ氏の分析を基に、こう報じた。
この日、日本の10年債利回りは3%に上昇し、1996年以来の高い水準となった。ドイツの10年債利回りは15年ぶりの高さとなる3.35%、英国の10年債利回りは2008年以来最も高い5.25%まで上昇した。国債の価格が下がると利回りは上がる。
クライン氏はこの日、自身が運営する経済・金融の分析メディア「ジ・オーバーシュート」に載せた文章で、国債利回りの上昇を、強い成長と増えた資本需要の表れだと解釈した。米国の名目の所得と名目の支出が年7%ほど増えており、人工知能(AI)の関連施設を中心に投資資金の需要も堅調だという。7%は物価の上昇分を含む名目の増加率だ。
米国の経済指標から景気減速が迫っている証拠を見つけるのは難しいとも主張した。消費と企業の投資が、以前より信用環境の変化に鈍くなったため、金利が上がっても経済と株式市場が予想以上に持ちこたえられる可能性があると説明した。
2008年の世界金融危機の後に続いた超低金利については、健全な正常の状態とはみていない。当時の低い金利は成長の停滞と投資先の不足を映していたが、今はAIデータセンターの建設などで資本需要が増え、金利の水準が高くなる条件が整ったと分析した。
ケビン・ウォルシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が先月28日のジャクソンホールでの講演で物価に強硬な姿勢を示した後、9月の利上げの可能性が高まったことも、おおむね良い知らせだと評価した。ウォルシュ議長は当時、企業の設備と無形資産への投資がこの1年で約9%増え、今年の投資の増加分の半分以上がAI関連施設の拡充に関わるものだと推計した。
ただ、ウォルシュ議長は、米国の個人消費支出(PCE)の物価上昇率が前年同期比3.7%と、FRBの目標である2%を上回っているとして、当面は物価の安定に政策の焦点を当てるべきだと強調した。強い景気と投資は企業業績を支えうるが、同時に追加の利上げの可能性を高める要因でもある。
一方、マテイカ氏も、国債利回りの上昇が株式市場にとって乗り越えにくい障害になるとはみていないと述べた。金利上昇の大部分は、景気回復の速度が上がったことから生じているとの判断だ。
JPモルガンは、企業業績が堅調で、1株当たり利益の予想が相次いで上方修正されている点を、株式市場のさらなる上昇の根拠に挙げた。中央銀行の引き締めの強さが市場の懸念より弱まる可能性と、企業の購買担当者への調査で景気の流れを測る購買担当者景気指数(PMI)の改善も、上昇の要因に挙げた。特に欧州のPMIの予想値が3カ月連続で上方修正されたと説明した。
マテイカ氏は、米国株の予想PER(株価収益率)が20倍に高まった一方、欧州と新興国の株は相対的に割安だと評価した。ドル高が頂点を過ぎて弱含みに転じれば、ドルを基準に収益率を計算する米国の投資家にとって、海外株の魅力が高まる可能性があると予想した。中東の紛争の後に大きく下がった金の価格も、ドルが弱くなれば反発する可能性があると見通した。法定通貨の価値の下落に備え、金のような実物資産を買う投資戦略が再び力を得る可能性があるとの分析だ。
新興国の株式については、比率を高めるという見方も維持した。メモリー半導体の市況が安定するか、中国経済が回復の兆しを見せれば、新興国の株式市場のさらなる上昇につながるとみている。マーケットウォッチは、こうした楽観論が金利上昇そのものを好材料とみているのではなく、成長と業績の改善が金利上昇の負担を打ち消せるという判断に基づいていると伝えた。
