「15兆4000億円投入」でも1ドル160円台 米財務長官が日銀に利上げの道筋要求
G20会議で財務相らと会談
「日本は利上げへの道筋を示すべき」

円安に歯止めがかからない中、スコット・ベッセント米財務長官が、日本経済政策を担う「2トップ」と相次いで会談し、政策金利の引き上げを求めたと伝えられた。
1日、NHKや共同通信によると、片山さつき財務相と日本銀行の植田和男総裁は前日、米ノースカロライナ州アッシュビルでベッセント米財務長官と会談した。アッシュビルでは先月31日から2日間の日程で、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれている。
NHKは、米財務省のエリン・ブラウン国際担当次官の発言を引用し、ベッセント長官が会談で「日本の次の段階として、財政の持続可能性と利上げに向けた道筋を市場に明確に示すことが重要だ」との趣旨の発言をしたと報じた。事実上、日本銀行に利上げを促す発言と受け止められている。
これに先立ち、ベッセント長官はCNBCとのインタビューでも「日本政府と日本銀行が円高につながる措置を取ると信じている」と強調していた。
また、7月31日に行われた異例の日米による為替市場での協調介入の効果についても、「自然な均衡そのものに影響を与えることはできないが、われわれにできるのはシグナルを送ることだ」と述べた。
日本の財務省は先月29日、円相場を下支えするため、直近1カ月で過去最大となる15兆4,000億円を投入したと明らかにしている。
ただ、円相場の下支え効果は長続きしなかった。
同日の円相場は前日に続き、心理的な節目とされる1ドル=160円台を突破した。
ベッセント長官はこれまで、円相場の極端な変動が米国の金利上昇につながる可能性について懸念を示しており、円安の是正は米国にとっても重要な課題となっている。
米国で金利が上昇すれば、住宅ローンや自動車ローンなどの借入負担が増えるため、11月の中間選挙を控えるドナルド・トランプ政権にとっても逆風となる可能性がある。
こうした背景から、ベッセント長官は日本銀行に対して利上げを求めているとみられる。
日米の大きな金利差は円安を招く主要因の一つとなっている。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は最近、ジャクソンホール会議で「物価の状況を懸念している」と述べ、金融引き締めに前向きな姿勢を示した。
仮にFRBが米国の政策金利を引き上げれば、日米の金利差はさらに拡大し、円安圧力が一段と強まる可能性がある。
日本国内でも、長期化する円安は深刻な課題となっている。
円安は日本の輸出企業にとって価格競争力を高める一方、輸入コストを大幅に押し上げ、国内消費を冷え込ませる要因にもなっている。
