高まる寄付金、地イクラで寄付額100倍超 ふるさと納税1.3兆円、自治体間で広がる格差方格差が深刻化
寄付総額1兆3,314億円、過去最高
東京2,255億円の赤字、北海道709億円の黒字
人気特産品の有無で自治体間の格差拡大

希望する自治体に寄付し、税控除や返礼品を受けられる「ふるさと納税」が急増する一方、自治体間の税収格差が広がっている。年間の寄付額は過去最高の1兆3,314億円に達したが、人気の特産品を持つ地域に寄付が集中し、19都道府県が赤字となった。故郷を支援するために設けられた制度が、返礼品を介した自治体間の税収争奪戦に変質しているとの指摘も出ている。
ふるさと納税は、希望する自治体に寄付すると、自己負担額2,000円を除いた金額が所得税や住民税から控除され、その地域の特産品などを返礼品として受け取れる制度だ。寄付を受けた自治体は財源が増える一方、寄付者が住む自治体では住民税収が減る。返礼品や仲介サイトの手数料も自治体の財源から支出される。
東京2,255億円の赤字、北海道709億円の黒字
朝日新聞が26日、寄付金収入から返礼品や配送費などの経費と住民税の流出額を差し引いて試算したところ、47都道府県のうち19都道府県が赤字だった。都道府県と、その管内の市区町村の収支を合算した結果だ。
東京都は162億円の寄付金を受け取った一方、返礼品や仲介サイトの手数料などに66億円を支出した。さらに、住民が他の自治体に寄付したことで2,351億円の住民税が流出し、差し引き2,255億円の赤字となった。赤字額は全国で最も大きかった。
神奈川県も846億円、大阪府489億円、埼玉県481億円、愛知県469億円の赤字を記録した。人口が多く、他の地域への住民税流出額が大きい大都市圏に赤字が集中している。
一方、鮭や海産物など人気の返礼品をそろえる北海道は709億円の黒字となり、全国1位だった。宮崎県は281億円、山梨県は228億円の黒字となった。
ただし、地方交付税を受け取る自治体では、減少した住民税収の約75%が国から補填される。今回の試算には、この補填額は含まれていない。財政力があり地方交付税を受け取っていない自治体は、税収減少分を全額負担することになる。
イクラで寄付額100倍超?大都市も返礼品競争
自治体間の明暗は、北海道白糠町と神奈川県川崎市の例に鮮明に表れている。
イクラや鮭で知られる白糠町は、2025年度に223億円の寄付を集め、全国2位となった。2026年度の一般会計予算262億円に迫る規模だ。2015年度に1億6,000万円だった寄付額は、10年間で100倍以上に膨らんだ。
白糠町は2006年から楽天市場に直営店を開設し、販売ノウハウを蓄積してきた。寄付金を活用して新たな水産物を開発したほか、水中ドローンなどの漁業機器も導入した。積立基金も2024年度末に240億円を超え、5年前の3倍以上に増加した。
一方、財政力があり地方交付税を受け取っていない川崎市では、2026年度の住民税収が170億円減少する見通しだ。2020年度の66億円の3倍近くに達し、年間のごみ収集・処理費用を上回る。
川崎市は税収流出を取り戻すため、花王の日用品や東芝の家電製品などを追加し、返礼品を2022年度の400品目から2025年度には1,200品目へ増やした。寄付金収入も3億円から43億円に拡大した。税収を奪われた大都市まで、その税収を取り戻そうと返礼品競争に参入する悪循環が生じている。
川崎市の関係者は「返礼品が組み合わされたことで、制度がネット通販のようになってしまったことが問題だ」と指摘した。東京都の小池百合子知事も4月、「学校や福祉、道路建設などに使われるべきお金が、肉やホタテに消えている」と述べ、制度の見直しを求めた。
東洋大学の沼尾波子教授は「住民サービスに使われるべき税金が、特産品の費用や仲介サイトの手数料に流れている」と指摘する一方、「地域経済への影響を考慮し、制度は段階的に縮小すべきだ」と提言した。

