元国家安全保障局長、300億円の経済安保ファンド AI・防衛に投資
日本政府が戦略企業の海外売却を阻止する動き強めるなか、役割に注目

政府が戦略技術を持つ国内企業の海外流出を事前に防ぐ措置を強化するなか、安倍晋三前政権で国家安全保障局長を務めた人物が、経済安全保障に特化したファンドの設立に乗り出しており、その役割が注目されている。日本経済新聞(日経)によると、前国家安全保障局長の北村滋氏は企業から最大300億円を集めてファンドを設立し、人工知能(AI)、防衛、サイバーセキュリティーなど戦略分野のスタートアップに投資する計画だという。
ファンドのCEOは北村氏が務め、CIOには資産運用業界の出身者を起用し、来年以降、最大60社程度のスタートアップへの本格的な投資を始める計画とされる。北村氏は「投資先の財務や技術だけでなく、経済安全保障上のリスクや政策環境まで評価する『経済安保デューデリジェンス』が新ファンドの強みだ」と述べた。
北村氏は2019年、第4次安倍内閣の改造に伴い、外交・安全保障の司令塔である国家安全保障局長兼内閣特別顧問に就任し、2021年まで務めた。日本では珍しい警察出身の安全保障担当トップとして注目され、国家安全保障局に経済班を新設して経済安全保障政策を推進した。読売新聞が、銃撃で死亡した安倍前首相の生前のインタビューをまとめた『安倍晋三回顧録』を出版した際に監修を務めるなど、安倍前内閣の内幕に精通した人物として知られている。
政府は、戦略分野の技術を保有する企業が外国資本に買収されるのを防ぐ政策を進めている。国会は今年5月、外国資本による日本企業の買収審査を強化することを柱とした外国為替及び外国貿易法(外為法)改正案を可決した。戦略技術を持つ企業が海外に売却される過程で、機微な技術情報が流出する可能性を事前に厳格に審査することを目的にした法案だ。政府は今後、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)のような、戦略技術を持つ企業の売却審査を専門に担う機関も設ける方針だ。


