イラン、射程1万5000キロのICBM開発を協議 米本土を射程に収める可能性、技術移転も焦点
イラン側「射程1万5,000キロのICBM開発を協議中」
「米国本土全体が射程に入る可能性」
「北朝鮮・中国・ロシアから技術移転を受け、協力を強化する可能性も」

イランが、米国本土を射程に収める1万5,000キロ級の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を検討しているとの見方が出ている。
11日(現地時間)、ウクライナ軍事専門メディアのディフェンス・エクスプレスはアラブ系の専門メディアを引用し、イラン最高指導部が射程1万5,000キロのミサイル開発について協議していると報じた。同メディアは、「米国本土を直接攻撃する必要性と関連しているとの分析が出ている」と伝えている。
報道によると、イラン最高指導者の報道官を務めるアブドゥルナビ・ムサビファルド氏は7日、「射程1万5,000キロのミサイル開発について協議している」と述べた。また、「イランにはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を標的とした攻撃が必要だ。イランのミサイルはすでにエルサレムに到達できる」と主張した。
これに関連して、アラブ系軍事専門メディア、ディフェンス・アラビックは、「この発言は、イランがミサイル能力を大陸間レベルに拡大しようとする潜在的な意図を示している」と分析した。その上で、「イランは中東で最大規模かつ最も多様なミサイル戦力を保有する国の一つだ」と指摘した。
さらに、同メディアは「イランには、さまざまな射程や能力を持つ弾道ミサイルと巡航ミサイルが数千基あり、敵の攻撃からミサイルや発射台を守るため、地下に構築した大規模な施設網も整備してきた」と伝えた。
イランのミサイル能力、実際の射程は
現在、イランが保有する弾道ミサイルのうち、最長の射程を持つとされるのが、約4,000キロを飛行できるコラムシャール・ミサイルだ。
コラムシャール・ミサイルは、長距離攻撃能力と大型弾頭の搭載能力を兼ね備えた、イランの戦略ミサイル戦力の中核の一つとされる。大型弾頭を搭載した場合でも最低2,000キロの射程を持ち、西側の専門家は、軽量の弾頭を搭載すれば最大約4,000キロまで到達可能とみている。

このほか、イランは射程2,000キロと推定される中距離弾道ミサイルのガドル、エマド、セジルなども保有している。イランが射程1万5,000キロの大陸間弾道ミサイルの開発に成功すれば、米国全土が射程に入る可能性がある。
ディフェンス・エクスプレスは、「米国本土全体を攻撃するには、射程1万2,000~1万3,000キロのミサイルでも十分だ」と指摘した。その上で、「射程1万5,000キロのミサイル開発への言及は、イランが他のいわゆるならず者国家の開発技術をそのまま模倣しようとしている可能性を示している」と分析した。
北朝鮮などからミサイル技術を入手する可能性も
ウクライナのメディアが指摘した「ならず者国家の開発技術」とは、ミサイルをゼロから開発するのではなく、すでに長距離ミサイルを開発している他国から技術や設計を入手し、それを基に開発を進める可能性を意味する。
実際、コラムシャール・ミサイルは北朝鮮のムスダン(BM-25)を基に開発されたと広く知られている。ムスダン自体も、旧ソ連のR-27潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を基に開発されたとされる。
こうしたことから、イランによる射程1万5,000キロ級のミサイル開発は、北朝鮮など他国がすでに開発した長距離ミサイルの技術を入手し、それを基に新たなイラン製ミサイルを開発する形で進められる可能性がある。
これは、イランが北朝鮮や中国、ロシアなど、西側諸国と対立する国々との軍事協力を一段と強化することを意味し、地域の安全保障環境が現在よりさらに悪化する可能性があるとの懸念を高めている。
特に、イランの長距離ミサイル能力が向上した場合、イスラエルや湾岸諸国など中東の主要国が新たな安全保障上の脅威に直面する可能性がある。これに対応するための軍拡競争や軍事的緊張がさらに激化することも懸念される。
ディフェンス・アラビックは、「現時点で、イランが射程1万5,000キロ級のミサイルを開発するために必要な技術や経験を保有していることを示す信頼できる公開情報はない」と指摘した。その一方で、「ロシアや中国から支援や技術移転を受けた場合は、その限りではない可能性がある」と分析した。
ディフェンス・エクスプレスも、「ロシアから北朝鮮を経由してイランへとつながる、こうしたミサイル技術の移転ルートが再び形成される可能性が高い」と指摘した。その上で、「ロシアはイランを巡る軍事衝突が始まって以降もイランとの協力関係を構築しており、イランが米国を攻撃するために必要なICBMを迅速に開発・生産できるよう、直接的な技術移転や包括的な支援を提供する可能性がある」と強調した。
イラン、軍事衝突後も数千基のミサイルを保有
一方、イランは2月28日に米国とイスラエルによる先制攻撃で始まった軍事衝突の後も、数千基のミサイルを保有しているとみられている。
米国のシンクタンク、中東研究所(MEI)は、米国とイスラエルの情報機関による評価を引用し、「イランのミサイル在庫は、軍事衝突前と比べて全体でおよそ半分に減少した」と指摘した。一方で、「イランは依然として数千基の短距離ミサイルと1,000基以上の中距離ミサイルを保有している」と説明した。
イラン軍も4日、「停戦期間中に既存の軍事装備を部隊に配備し、新たな装備を輸入する一方、軍事衝突で損傷した兵器システムの修理・復旧や、新たな兵器の生産を進めた」と明らかにし、十分なミサイルの備蓄を維持していると主張した。

