「訪日客4300万人でも人手が足りない」日本の空港がAIに仕事を任せ始めた理由
2030年の訪日客6,000万人目標に向けて
老朽化と人手不足が深刻化、空港点検にAI導入へ
住友商事、ドローンや自動運転車を活用

国内の空港が大手商社の住友商事と連携し、人工知能(AI)を使って滑走路や誘導灯などの異常を自動検知する仕組みを構築する。
日本経済新聞が3日に報じたところによると、成田国際空港や関西国際空港など19空港と住友商事は、空港インフラの巡回・点検システムを構築するためのコンソーシアムを設立した。
各空港から収集したデータを集約し、異常を検知する精度を高める共通のAI基盤を整備する計画だ。
コンソーシアム設立の背景には、訪日外国人の増加に伴う業務負担の拡大と、空港施設の維持管理を担う人材の不足がある。
昨年の訪日外国人は4,300万人に達し、過去最多を更新した。一方、各空港では施設の修繕や点検を担当する人材の確保が課題となっている。供用開始から長い年月が経過し、施設の老朽化が進む空港も多い。
国土交通省によると、2024年時点で、供用開始から50年以上が経過した空港は全体の約50%に上る。
政府は、首都圏の玄関口となる成田空港と羽田空港の年間発着回数を、現在の約83万回から100万回へ増やす目標を掲げている。2030年までに訪日外国人を年間6,000万人に増やす方針も示している。
各空港は新たな点検システムを導入し、作業員が直接行う点検作業の時間を最大50%削減する計画だ。まず民間運営や国管理の19空港で取り組みを始め、将来的には対象を拡大する。国内には約100の空港がある。
住友商事はこれまでにも、一部の空港と共同で滑走路点検の実証実験を進めてきた。鉄道インフラの維持管理や点検にもAIを活用するなど、交通インフラ分野で事業を展開している。
総務省は「地域社会DX推進パッケージ事業」を通じ、AIや通信技術を活用した地域課題の解決を支援しており、今回の取り組みにも同事業の補助金が活用された。
新たなシステムでは、自動運転車に搭載したカメラで高精細な映像を撮影し、滑走路などのひび割れや異物を自動的に検知する。
高所など人による点検が難しい施設ではドローンを活用するほか、ロボットが現実空間で作業する「フィジカルAI」の導入も検討する。

