「道路も橋も住宅も消えた」ネパールの生存者ら、「生きていく希望を失った」

AFP通信は3日(現地時間)、大洪水で廃墟と化したネパール中北部ラスワ地域の生存者らが、喪失感と不安に苦しんでいると報じた。暮らしの場だった村全体を覆い尽くした泥や岩を前に、住民らは生きていく力を失っている。
破壊された谷の上空を飛ぶヘリコプターから見下ろすと、地上はまるでピースの欠けたパズルのようで、村の広い範囲が跡形もなく消えていた。緑の水田や家々があった場所のそばには、広大な土地が丸ごと流された光景が広がっていた。
村の様子を確認するためヘリコプターに乗ったヤンギ・タマンさんは、廃墟を前に悲しみに沈み、途方に暮れた。タマンさんの自宅はラスワ地域シャブルベシの山腹に残っているが、親族が暮らし、市場があった下方の集落は洪水で完全に流された。
タマンさんは、眼下に広がる、道路がすべて寸断された惨状を確認した直後、「すべて消えてしまい、何も残っていない。誰も残っていない」と嘆いた。
ネパールの救助当局が収容した遺体は1,250人を超え、行方不明者も5,000人を超えている。かつて栄えていたラスワ地域の村や市場、緑に覆われた山腹、曲がりくねった道路は今や、一面の泥と砕けた岩、がれきに覆われている。
タマンさんは当時の状況を振り返り、「あれはただの水ではなかった。ガスのようで、辺り一面が真っ黒だった。沸騰した湯のように動いていた」と語った。さらに、「あまりにも一瞬の出来事で、誰も逃げる暇がなかった」と付け加えた。
水力発電所のトンネルなどには、約100人が閉じ込められているとみられる。タマンさんの夫は無事だが、夫が働いていた近くのチリメ水力発電所は洪水で完全に破壊された。
タマンさんは「これからどう生きていけばいいのか分からない。暮らしていける場所が何も残っていない」と悲しんだ。
今も泥水が流れる川は破壊の痕跡を生々しく残し、山のように積み上がったがれきは、水路の形や流路まで変えてしまった。谷の土や木々、草は洪水に押し流され、削り取られ、人里離れた村々を結んでいた道路や橋も跡形もなく破壊されたり、流失したりした。
別の住民、リサン・タマンさんは、残された人々にとって先行きは暗いばかりだと話した。
リサンさんは「道路はこんな状態で、橋もすべて流されてしまった。今では金があっても、何かを買える場所すらない」とし、「ここで暮らしていけるという希望は、もう死んでしまった」と悲しんだ。


