「2年後5%、その先20%も」サウジのウラン濃縮に道 米議会「止める手段なし」
2年間の共同研究後、5%まで濃縮可能に
追加研究を経て「20%近く」まで可能となる可能性
専門家「核拡散防止の仕組みを精査すべき」

ドナルド・トランプ米政権とサウジアラビア政府が締結した民生用原子力協定が実施された場合、サウジアラビアが長期的に自国内でウランを濃縮し、濃縮度を20%まで引き上げることが可能になるとの報道が出た。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2日(現地時間)、「サウジ原発協定、20%濃縮への道を開く可能性」と題した記事で、「この画期的な協定では、核拡散のリスクを阻止するには不十分だとの批判が高まっている」と報じた。
これに先立ち、トランプ政権は7月22日にサウジアラビアと協定を正式に締結した後、先月24日に上下両院へ協定文書を提出した。上下両院が共同で不承認決議を可決しない限り、協定は90日後に自動的に発効する。
正確な文書は公開されていないが、WSJによると、両国は2年間にわたり「濃縮・転換共同研究」を行い、ウラン濃縮の経済的実現可能性や核拡散リスクを防止するための安全性を検討するという。この期間中、ウランの濃縮は禁止される。
しかし、両国が研究を通じて濃縮の必要性があるとの結論に至った場合、サウジアラビアによる自国での濃縮が可能になる。米国企業主導でサウジアラビアに濃縮施設を建設し、5%濃縮ウランを製造できるようになる。
両国はサウジアラビアが自国でウラン濃縮を始めた後も共同研究を続ける。追加研究の結果次第では、濃縮度を20%近くまで引き上げることが可能になる可能性があるというのが、今回のWSJ報道の要旨だ。
さらに、議会などがこれを抑制するための有効な統制手段もないとの懸念が出ている。
カリフォルニア州選出の民主党のブラッド・シャーマン下院議員は、「2年間の協議手続きが予定されているが、これは2日で合意に至る可能性もあるものだ」と主張し、「明らかなのは、議会が関与することはできないという点だ」と述べた。
WSJはさらに、「トランプ政権は、米国が不許可を決定した場合、サウジアラビアは10年間ウラン濃縮を禁止されると説明してきたが、議会に提供された情報にはこうした約束がない。政権は、この内容が別途の付属文書に盛り込まれているかどうかについても明らかにしていない」と指摘した。
濃縮度20%はウランの危険性を判断する基準点とされ、濃縮度が20%以上になると高濃縮ウラン(HEU)に分類される。ウランを約90%まで濃縮すると核兵器に利用できるが、20%の段階から兵器化が可能になるとみられている。
バラク・オバマ政権が2015年、包括的共同行動計画(JCPOA)を通じてイランに設定した濃縮制限は、原子力発電の燃料に相当する「3.67%以下」だった。
専門家からも懸念の声が相次いでいる。
米国務省で核不拡散問題を担当したロバート・アインホーン氏はWSJに対し、「今回の協定は米国の原子力産業の再興と米国・サウジアラビアの戦略的関係強化を意味する」としながらも、「議会は、協定に盛り込まれた仕組みが核拡散のリスクを十分に相殺できるのかという点を問うべきだ」と指摘した。
軍備管理協会(ACA)のダリル・キンボール事務局長も、「この協定の基準は、世界100カ国余りに求められているものよりはるかに低い。しかも、核兵器開発を推進すると脅してきた国(サウジアラビア)を相手にしている」と批判した。
一方、国際原子力機関(IAEA)は協定に反対していないとの立場を示している。
IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、「重要なのは、サウジアラビア国内で核物質が核兵器開発などに転用されていないことや、未申告の核活動がないことを検証するための措置を講じる能力をわれわれが持つことだ」とし、「検証体制は適切なものとみられる」と述べたと、WSJは伝えた。
