イラン、「ハマス式」奇襲を計画か…複数戦線からイスラエル攻撃、最悪の拡大懸念

2023年10月7日、パレスチナの武装組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、多くの民間人を殺害・誘拐したのと同様の手法による攻撃を、イランが計画しているとの報告が出ている。
エルサレム・ポストなどイスラエルメディアの5日(現地時間)の報道によると、イスラエル当局は最近、イランがハマスによる奇襲攻撃と同様のシナリオに基づき、複数の戦線から同時にイスラエルを狙う組織的かつ大規模な攻撃を準備しているとの見方を示した。
この評価報告書によると、イランはレバノンのヒズボラ、パレスチナのハマス、イエメンのフーシ派、イラクの親イラン民兵と連携し、一体となった作戦を展開する計画を立てている。
2023年のハマスによるイスラエル奇襲攻撃後に公開されたハマスの内部文書によると、当時ハマス指導部の一員だったヤヒヤ・シンワルは、イランなどイスラエルに敵対する他の勢力をさらに戦線に引き込もうとしたが、十分に足並みをそろえるには至らなかった。

イスラエル側は、イランが当時のハマスの「失敗」を教訓として、代理勢力との緊密な協力体制を整えようとしているとみている。
エルサレム・ポストはアラブメディアを引用し、「イランが検討している計画は、複数の戦線から同時にイスラエルを相手に作戦を実行するものだ。当初から複数戦線での同時作戦を戦略の一部に組み込もうとしている」と報じた。
さらに、「実際にイランがいわゆる『抵抗の軸』を再構築し、各戦線の協調体制を立て直そうとする動きもみられている」と付け加えた。
報道によると、8月にイスラエルで公表された報告書では、ハマスとヒズボラがイランの支援を受けて再び協力を深め、イスラエルの北部と南部に同時に圧力をかけようとする動きを見せているという。
同紙はイスラエル軍の評価を引用し、「ハマスとヒズボラはここ数週間で、イランの支援を受けて活動を拡大するため、すでに足並みをそろえ始めたとみられる」と伝えた。
イラン、武装勢力との協議再開か
エルサレム・ポストは、イラン革命防衛隊(IRGC)の高官がヒズボラ、フーシ派、イラク民兵の指揮官らと戦線の拡大について協議したとの情報も報じた。
革命防衛隊の高官は3勢力の指揮官らとオンライン会議を行ったとされる。同じ時期、イランはミサイルやドローンの生産を加速させるとともに、戦争初期に損なわれた軍事能力の回復に取り組んだという。
さらに、イランと代理勢力による共同訓練が行われた事例も確認され、「抵抗の軸」を構成する勢力間では、政治・軍事面での意思決定を巡る協力も強まった。
エルサレム・ポストは「現在、イラン側の同盟勢力は10月7日以前とは異なる地域情勢の下で活動しており、その中でイラクとイエメンがより中心的な役割を担っている」と分析した。
ただ、イラン、レバノン、ガザ地区、イラク、イエメンの複数の武装勢力が同時に行動し、協力関係を強化しようとしているとのイスラエル側の情報評価について、米国は公式な立場を示していない。
ネタニヤフ首相「イラン政権、かつてないほど弱体化」
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イラン政権を崩壊させることがイスラエルの最重要課題だとの立場を改めて示している。

3日、ネタニヤフ首相は「過去3年間の戦争と最近の軍事作戦を通じて得た成果は、イスラエルの存続を保証する歴史的な成果だ。イラン政権は現在揺らいでいる。かつてないほど弱体化し、生き残りをかけて戦っている」と主張した。
続けて「イラン政権を崩壊させるという目標は近づいている。不可能なことではなく、手の届くところまで来ている」と述べた。ただ、政権崩壊に向けた具体的な軍事計画や目標達成の時期は示さなかった。
ネタニヤフ首相は、2023年のハマスによる奇襲攻撃以降に展開された軍事作戦によって、イランの脅威が大きく弱まったともみている。イランが現在イスラエルを直接攻撃していないのも、イスラエルの強力な軍事力によるものだと主張した。
同首相は「彼らがわれわれを攻撃していないのは偶然ではない。彼らはわれわれ以外を攻撃している」としたうえで、「われわれの力と攻撃能力、決意を知っているからだ」と語った。
さらに、イランなどイスラエルの敵に対し、「われわれに手を出すな」と警告し、「われわれにはあなた方を打ち負かす力と決意、国内の結束がある」と強調した。
