ガソリン価格2倍・食料品価格128%上昇…戦争で崩れるイランの市民生活
各地のガソリンスタンドで燃料切れ…タクシー・トラック運転手が相次ぎスト
生活費負担急増…リヤルの価値は過去最安値

米国との戦争と封鎖により、イランの経済難が深刻化している。政府が財政負担を減らすため燃料補助金を削減し、一部のガソリン価格を2倍に引き上げる中、燃料不足に抗議する運輸業界のストライキも広がっている。食料品価格が1年間で128%急騰し、リヤルの価値が過去最安値に落ち込むなど、市民生活全般に打撃が広がっている。
10日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、イラン政府は7日、一部のガソリン価格を2倍に引き上げ、1L当たり約0.04ドル(約6円)としたという。政府が定めた最低価格で補助金が適用される割当量をすべて使い切った後、燃料を満タンにするには、乗用車で約2ドル(約310円)、トラックで約5ドル(約770円)かかる。月収が100ドル(約1万5,400円)を大きく超えない大半のイラン人にとって、少なくない負担となる。
値上げを前に運転手が殺到したことで、一部のガソリンスタンドではガソリンが品切れとなった。戦争で損傷した製油施設を復旧する必要があるうえ、米国の封鎖によってガソリンの輸入にも支障が生じ、燃料不足が深刻化している。
燃料不足を背景に、運輸業界ではストライキも広がっている。イラン東部のケルマーン州では、タクシー運転手120人が、補助金が適用される燃料の割当量削減に抗議し、約300万人のドライバーを抱えるイランの配車・配送プラットフォーム、スナップ(Snapp)のドライバーも複数の都市でストライキに入った。
トラック運転手もこれに加わった。先月、イラク国境のメヘラン国境ターミナルでは燃料不足に抗議するストライキが行われ、イランのコンテナ貨物の大半を取り扱うバンダレ・アッバース港のトラック運転手もストライキに参加する可能性があると警告した。
運輸業界からは、戦争初期にもなかった燃料不足が最近になって本格化しているとの指摘が出ている。イラン・トラック運転手協会のジャラル・ムーサヴィー副会長は、国営イラン労働通信(ILNA)に「運送業者は戦争やミサイル攻撃の中でも貨物を運び、物流を1時間たりとも止めなかった」とし、「今では運転手が給油するために長い列に並ばなければならない」と語った。
燃料不足に加え、物価高と通貨価値の下落もイラン経済を圧迫している。8月の食料品価格は前年同月比128%急騰した。米国による経済的圧力が強まる中、リヤルの価値も急落し、10日には1ドル=230万リヤルを超える水準まで下落して、過去最安値を記録した。
生活苦が深刻化する中、消費者は食料品や教育費など必要不可欠な支出まで削っている。スナップは最近、食料品やタクシー利用料を4回に分けて支払えるサービスを導入した。

