「移民を除けば共和党に有利」トランプ政権、国勢調査変更で下院議席再編狙う
各州の人口に応じて下院議席を配分
「移民を除外すれば共和党に有利」と判断

米国のドナルド・トランプ政権が9日、10年周期で実施する国勢調査の対象を米市民権保持者と永住権保持者に限定するよう変更すべきだと提案した。「不法移民や永住権を持たない居住者は、米国に対する連帯感や忠誠心が不足している」という理由からだ。トランプ政権が国勢調査の対象を変更しようとしているのは、調査結果が各州の下院議員数の配分に直結するためだとみられている。移民の割合が高いカリフォルニア州(52議席)、テキサス州(38議席)、フロリダ州(28議席)、ニューヨーク州(26議席)などで人口が減少し、下院の議席減につながるものの、トランプ大統領はこうした変化が共和党に有利に働くとみている。移民は総じて民主党支持の傾向が強いとされているためだ。
連邦上院は各州から2人ずつ選出されるが、下院の場合は各州の全体の「人(person)」に基づいて議席数を配分し、選出する。トランプ政権は、この「人」から通常居住地を持たない不法移民や、難民・亡命申請者のような一時滞在の移民などは除外すべきだと主張した。現在の国勢調査では留学生や不法移民、難民・亡命申請者など一時移住者も集計しているが、これらを排除すべきだとの考えを示している。人種分類が「社会の分断」を誘発するとして、1790年の初の国勢調査から尋ねてきた人種・民族に関する設問を削除すべきだとの提案も付け加えた。この場合、数百万人が国勢調査から除外されることになり、州ごとの下院議席数が再編されると見込まれている。
今回の提案は、30日間のパブリックコメント(意見公募)を経た後、国勢調査局(CB)が検討し、最終規則を確定させる方針だ。次回の国勢調査は2030年4月に予定されている。トランプ氏は第1期政権時の2018年にも、国勢調査に市民権の有無を問う質問を盛り込む案を推進したが、司法の介入により実現には至らなかった。米紙ワシントン・ポスト(WP)は違憲論争とそれに伴う訴訟合戦に発展するのは確実だとの見通しを示す一方で、当時政府に対抗して訴訟を主導したニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は「政府が提案した今回の変更に対し、再び法的対応策を模索している」と明らかにした。
アンディ・キム民主党上院議員は「正確な国勢調査は平等権の保障や連邦資金配分の根本的な土台となる」とし、「今回の提案はトランプ氏による民主主義への新たな攻撃であり、国勢調査が政治的な論争の対象になってはならない」と強く批判した。トランプ氏は11月の中間選挙を控えた時期にも、保守派の支持が厚いテキサス州などで共和党に有利になるよう、下院選挙区の再編を主導していた。しかし、司法から待ったがかかり、民主党も強固な地盤であるカリフォルニア州などで対抗措置に出たため、予想以上の効果は得られなかった。下院は多数党が召喚状の発付や公開公聴会などを通じて政府に対して強力な調査権限を行使できるため、民主党が奪還した場合、トランプ氏にとって相当なプレッシャーとなる見通しだ。
