「価格指数71.1」米製造業、8カ月連続拡大でも原材料高は23カ月続く
価格指数71.1と高水準 鉄鋼・関税・中東情勢が圧迫

米国の製造業景気は8カ月連続で拡大局面を維持したものの、その勢いは鈍化し、市場予想を下回った。関税やイラン戦争の影響で製造業各社が抱えるコスト負担は依然として高水準にあり、成長の勢いが弱まる一方で、物価上昇圧力はなかなか収まらない状況が続いている。
米供給管理協会(ISM)は1日(現地時間)、8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が54.6だったと発表した。前月の55.6から1.0ポイント低下し、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめた市場予想の55.3も下回った。
ただ、景気拡大と縮小の分岐点となる50は8カ月連続で上回った。
米国の製造業PMIは昨年12月に47.9まで低下した後、今年1月に52.6へ回復し、その後は拡大基調を続けてきた。7月には55.6まで上昇したが、8月に入り勢いが鈍化した形だ。
ISMは「景況感は依然として拡大圏にあるものの、新規受注、受注残、輸入など主要指標で勢いが弱まっている」と分析した。
内訳を見ると、減速傾向がより鮮明になっている。
新規受注指数は56.7から53.7へ3.0ポイント低下し、生産指数も58.5から58.3へ小幅に低下した。雇用指数も52.8から51.2へ1.6ポイント下がった。
いずれも50を上回り拡大基調は維持したものの、伸び幅は明らかに縮小した。受注残指数も55.0から51.8へ3.2ポイント低下した。
一方、コスト負担は高止まりしている。
原材料価格の動きを示す価格指数は71.1となり、前月と同水準を維持した。市場予想の70.5も上回った。
原材料価格の上昇は23カ月連続となった。調査に回答した企業のうち46.2%が前月より原材料価格が上昇したと答えた一方、下落したと答えた企業は4.0%にとどまった。
ISMは、価格指数が高水準を維持している背景として、鉄鋼・アルミニウム価格の上昇、輸入品への関税、中東情勢の緊迫化に伴う石油製品価格の上昇を挙げた。
18の製造業種のうち15業種が原材料価格の上昇を報告し、価格が下落したと回答した業種は一つもなかった。
企業現場でも景気の先行きに対する不透明感が強まっている。
8月の企業回答では、景況感を前向きに評価した割合は42%にとどまった一方、否定的な評価は58%に達した。
否定的な回答の理由として最も多かったのは価格変動の大きさで57%。次いで、供給リードタイムの長期化が46%、イラン戦争が30%、関税が29%となった。
特にコンピューター・電子製品業界では、人工知能(AI)インフラ需要の拡大に加え、イラン戦争や通商政策を巡る不透明感が重なり、供給網を取り巻く環境が新型コロナウイルス流行期よりも厳しいとの声も出ている。
機械業界からも、エネルギー、鉄鋼、人件費が同時に急上昇しているとの懸念が示された。
それでも、製造業全体の成長基調そのものは維持されている。
18業種のうち15業種が8月も成長を報告した。主要6業種では、輸送機器、石油・石炭製品、コンピューター・電子製品、機械、食品・飲料・たばこの5業種が拡大を続けた。
ISMは、「過去のPMIと実質国内総生産(GDP)成長率の相関関係に照らすと、8月のPMI54.6は年率2.4%の成長に相当する水準だ」と説明した。
今回の指標は、米国の製造業が拡大局面を維持している一方で需要の勢いは弱まり、原材料コストの上昇圧力は依然として強いという二重の状況を示している。
