「調達コストが10倍に」国内企業が“売れるものから売る”異例の対応、その背景とは

国債利回りが約30年ぶりの高水準に上昇するなか、国内企業が保有株式などの資産売却を検討し始めている。長年にわたる超低金利に慣れてきた企業が、借入コストの上昇を受け、財務負担を軽減するための対応を迫られている。
ブルームバーグ通信が、円建て社債の発行残高がある国内の非金融企業30社を調査したところ、14社以上が株式を含む資産の売却を検討していることが分かった。
通信大手のKDDIは、負債を減らすための選択肢の一つとして、資産売却を検討する可能性があると回答した。中国電力も、金利がさらに上昇すれば、資産や保有株式の売却を加速させる可能性があるとした。
企業の間では、資金調達先を海外へ広げたり、社債発行の時期を前倒ししたりする動きも検討されている。
長期金利の指標となる10年債利回りは今週、約30年ぶりに3%を突破した。
日銀は長年、マイナス金利政策を含む大規模な金融緩和を続けてきたが、現在は金融政策の正常化を進めている。米国側からも追加利上げを求める声が出ており、国債利回りの上昇基調は当面続くとの見方が広がっている。
企業の国内借入コストは、すでに25年余りぶりの高水準にある。円建て社債の発行にかかる平均金利は、日銀がマイナス金利政策を導入した約10年前の10倍に上昇した。
これまでゼロ金利に近い低コストで巨額の社債を発行してきた企業は、満期を迎える社債を借り換える際、従来より大幅に高い金利を負担しなければならない。
利払い負担の増加は企業収益を圧迫し、設備投資の計画にも悪影響を及ぼす可能性がある。
ブルームバーグの集計によると、調査対象となった30社の社債のうち、今月1日から2028年8月31日までに満期を迎える分は、総額6兆7,400億円に上る。
トヨタ自動車と東北電力は、今後2年以内に満期を迎える円建て社債を現在の金利水準で借り換えた場合、年間の利払い負担が30%以上増加するとの見通しを示した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの藤田俊平研究員は、最近の報告書で「金利上昇がすでに設備投資の重荷になり始めている可能性がある」と指摘した。
また、過去2年間で資本コストの上昇幅が大きかった金属製品や電力・ガス業界では、設備投資の伸びが鈍化する兆しが出ていると説明した。



