「新たな弾薬はまず米国へ」トランプ氏、ウクライナ支援費を欧州に請求

ドナルド・トランプ米大統領は、バイデン政権時代にウクライナや北大西洋条約機構(NATO)へ無償提供した軍事支援費について、欧州側に支払いを求める考えを明らかにした。新たに生産する弾薬についても、他国への販売より米国の備蓄を優先しており、同盟国への販売については「近く再開する」と述べた。
トランプ大統領は3日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「数千億ドルがウクライナとNATOに無償で渡った。本来は欧州が負担すべき費用だった」とした上で、「少し遅くなったが、われわれはその金を要求する」と表明した。
また、米軍の兵器在庫が減少しているとする一部報道について「反逆的なゴミだ」と非難し、米国は中・高性能の弾薬を大量に保有していると主張した。
トランプ大統領は「われわれは前例のない規模で弾薬を生産しており、起こり得るあらゆる緊急事態に備えて備蓄している」とし、「他国に売るより米国のために確保しているが、同盟国への販売も近く始まる」と述べた。
過去のウクライナ支援費は欧州に負担を求め、新たに生産する弾薬については米国の備蓄を優先する考えを示した形だ。現在、欧州が費用を負担して米国製兵器を購入し、ウクライナに送る支援の仕組みが稼働しているが、米国が自国の在庫補充を優先すれば、供給可能な量や引き渡し時期に影響が出る可能性がある。
「他国に売るより米国を優先」…イラン戦争で主要弾薬を大量消耗
米国が自国の備蓄を優先する背景には、イラン戦争で弾薬を大量に消耗した事情がある。
ロイター通信は、米政府の内部資料を知る関係者の話として、米陸軍がイラン戦争で陸軍戦術ミサイルシステム「ATACMS(エイタクムス)」と次世代精密打撃ミサイル「PrSM(プリズム)」を事実上ほぼ使い切ったと報じた。
パトリオット迎撃ミサイルの在庫も大幅に減少した。米戦略国際問題研究所(CSIS)は、今年2月から7月までに米国が保有していたパトリオット迎撃ミサイルの約65%を使用したと推計している。ロイターが取材した関係者2人も、この数字は米政府の内部資料とおおむね一致すると明らかにした。
ATACMSはすでにウクライナへ供与され、ロシア国内の標的への攻撃に使用されてきた。パトリオット迎撃ミサイルについても、ロシアの弾道ミサイル攻撃を防ぐため、ウクライナが継続して追加供給を求めている兵器だ。
米国が新たな生産分をまず自国の在庫補充に回せば、欧州が購入費用を用意したとしても、ウクライナ向けの供給量が減少したり、引き渡しが遅れたりする可能性がある。
欧州が武器代を負担する「PURL」…今度は「供給量」が焦点に
米国とNATOは昨年、欧州各国が費用を負担して米国製兵器を購入し、その後ウクライナへ送る「ウクライナ優先要求リスト(PURL)」の枠組みを開始した。
これは、それまで米国が無償で提供していたウクライナ向け兵器支援の費用を、欧州が負担する仕組みだ。
しかし、トランプ大統領が明らかにした通り、新たに生産される弾薬がまず米国の備蓄に回される場合、欧州が資金を用意するだけでは、ウクライナが必要とする兵器を希望する時期に確保することが難しくなる。
米国がどの弾薬から同盟国への販売を再開するのか、また、どの国に優先的に供給するのかが、実際の供給スピードを左右することになる。
トランプ大統領は、同盟国への販売を「近く」再開すると述べたものの、対象となる兵器や国、具体的な再開時期については明らかにしなかった。
また、特定の兵器についてウクライナへの供給やPURLの枠組みが停止されたとの発表も出ていない。
