「利上げ加速を」…米国の圧力で日銀利上げ加速か
植田総裁は利上げ間隔短縮を示唆、9月利上げ確率97%…国債利回りも急騰し30年物は4%台

日銀内で利上げペースの加速が可能だとする「タカ派(金融引き締め志向)」の発言が相次ぐ中、米政府による強い通貨・財政政策の転換圧力も加わり、円相場が急上昇した。
3日の東京外国為替市場で円相場は一時1ドル=156.5円まで上昇し、8月10日以来の円高水準を記録した。前日終値と比べ3円以上の円高が進んだことになる。市場では円相場の大幅な変動を警戒し、円のコールオプションを買い入れるなど、一段の急激な円高に備える動きがみられる。
日銀「連続利上げ・利上げ幅拡大も可能」
今回の円急伸の直接的な要因は、日銀当局者による相次ぐタカ派発言だ。日銀の高田創審議委員は2日、札幌市で開かれた金融経済懇談会後の記者会見で「従来の間隔にこだわらず、機動的に金利を引き上げる新たな局面だ。一般論として、連続利上げもあり得る」と語った。
これまで0.25%ポイントとしてきた利上げ幅についても「必ずしも決まったものではない」と答え、利上げ幅の拡大、いわゆる「ビッグステップ」に踏み切る可能性も示唆した。
3日、植田和男日銀総裁も「17~18日に開催される金融政策決定会合を含め、会合ごとに利上げを真剣に議論する」と述べ、従来「6か月に1回」とみられていた利上げの間隔が「3か月に1回」、あるいはそれより短い間隔になる可能性を示唆した。市場が織り込む9月の利上げ確率は97%まで急上昇した。
日銀政策委員会の審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは同日の報告書で、「17~18日の金融政策決定会合で0.25%ポイントの利上げが実施される可能性は100%に迫り、これは従来、平均で半年以上だった利上げの間隔が大幅に短縮される『引き締め加速』を意味する」と分析した。
米国からの政策転換圧力も加わる
日銀のこうした変化の背景には、米政府からの強い圧力もある。スコット・ベセント米財務長官は8月末、植田総裁と会談し、「円の著しい過小評価に対応するため、日本は断固たる金融政策上の措置を講じるべきだ」と促した。
続いて1日には高市早苗内閣に対し、金融緩和などを通じて景気を刺激する「リフレ政策」をやめるべきだとの考えを示した。
エリン・ブラウン米財務次官も最近、日本経済新聞とのインタビューで「3%台に達する日本の長期金利は米国市場にも大きな影響を与える」と強い警戒感を示した。
1兆ドル(約156兆4,000億円)を超える米国債を保有する日本で、国内金利が急上昇すれば、機関投資家の資金が米国から日本に還流し、米国の10年物国債利回り(現在4.8%)をさらに押し上げ、景気の下振れリスクを高める可能性がある。ブラウン財務次官は「中央銀行に指示するつもりはないが、市場のシグナルに耳を傾けることが重要だ」と述べ、日銀に早期利上げを間接的に促した。
超長期国債利回り4%突破
通貨当局の金融引き締め姿勢に外部からの圧力が加わり、日本国債市場の利回りも急上昇した。
日本財務省によると、日本の10年物国債利回りは30年ぶりに3%を突破し、超長期債の30年物も4%台に乗せた。
ただ、3日に実施された30年物国債入札では需要の弱さがみられた。応札倍率は3.79倍と前回の3.86倍を下回り、平均落札価格と最低落札価格の差を示す「テール」も拡大し、投資魅力の低下を背景とした様子見姿勢がうかがえた。日銀の利上げが本格化すれば、今後、国債価格がさらに下落し、利回りが上昇するとの警戒感が働いた結果とみられる。

