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2026年9月4日(金) 東京 --

「これは経済とは呼べない」プーチン氏の特別代表が警告 成長率0.4%、ロシア戦時経済は限界か

引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT
引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT

「これは経済とは呼べない。一種の『狂戦士(バーサーカー)モード』だ」

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の現職特別代表が、ロシア経済全体を軍産複合体と戦争遂行に適応させる手法は「極めて限られた期間」しか維持できないと公然と警告した。ロシア政府が今年の経済成長率見通しを0.4%まで引き下げた中、軍需生産は高い水準を維持しているものの、民間企業の税金や資金調達の負担は重くなった。

1日(現地時間)、ロイター通信やロシア・メディアのRBCなどによると、国際機関・持続可能な開発目標(SDGs)担当大統領特別代表であるボリス・チトフ氏は、東方経済フォーラムを控えたRBCとのインタビューで、軍需部門と民間経済のバランスを強調し、このように指摘した。
チトフ特別代表は「軍事経済と民間経済は常に共存してきており、軍産複合体から有用な技術も多く誕生した」とし、「重要なのはその比率だ」と語った。続けて、経済全体を戦争に動員する手法を北欧神話の狂戦士に例え、「これはもはや経済とは呼べず、一種の『バーサーカー(狂戦士)モード』だ」とし、「極めて限られた時間しか存在し得ない」と述べた。

国防・安全保障に予算の38%…民間企業の税負担と金融コストが増加

ロシア経済は戦争初期、大規模な国防発注と財政支出をテコに高い成長を遂げた。稼働余力のあった設備や遊休労働力が軍需生産へと移動したことで、生産や賃金、消費が揃って増加した。国内総生産(GDP)は2023年に4.1%、2024年に4.9%成長した。

しかし昨年の成長率は1.0%に落ち込んだ。ロシア政府は今年5月、今年の成長率見通しを従来の1.3%から0.4%に引き下げ、2027年の見通しも2.8%から1.4%へと下方修正した。

軍需部門とその他の製造業との格差も広がった。フィンランド銀行新興国経済研究所(BOFIT)がロシア連邦統計局のデータを分析した結果、昨年、戦争遂行に関連する製造業の付加価値は約20%増加したものの、その他の製造業は0.4%の増加にとどまった。今年の1〜4月における製造業全体の生産も前年同期比0.3%の増加にとどまり、製造業売上高の56%を占める主要19業種においては生産が減少した。

戦争初期とは異なり、現在は軍需生産に新規投入できる労働力や設備の余裕も減少した。BOFITは、労働市場に遊休人員がほとんど残っておらず、追加的な財政支出による成長効果が弱まったと分析した。軍需企業が生産をさらに拡大するには、民間企業と同じ労働力や設備、資本を巡って競争しなければならない。

戦費の捻出は可能だが…14%の高金利が民間投資を圧迫

ロシア政府は莫大な財政を投入して軍需生産を維持している。2026年の国家防衛および国家安全保障・法執行予算を合わせると16兆8,406億ルーブル(約30兆3,000億円)となり、連邦予算の総支出の約38.2%を占める。連邦予算100ルーブル(約179円)のうち、約38ルーブル(約68.4円)が国防や治安・安全保障分野に投じられる計算だ。

歳入基盤も拡大させた。今年、一般付加価値税(VAT)の税率を20%から22%に引き上げ、一部の中小事業者までVATの課税対象に組み入れた。それでも今年上半期の連邦予算の赤字は5兆7,300億ルーブル(約10兆3,100億円)となり、GDPの2.5%に達した。前年同期の1.7倍の水準だ。

当面、戦費が底をつく状況ではない。国際通貨基金(IMF)が推計した今年のロシアの一般政府総債務残高はGDPの19.1%だ。累積国家債務が低いため、政府が国内での借り入れを増やして軍事費や財政支出を継続する余地は残されている。

「重要なのは比率」…軍需を拡大するほど民間の生産基盤は弱体化

その代わり、そのコストは民間経済へと波及した。ロシア中央銀行は今年7月に政策金利を0.25%ポイント引き下げたものの、依然として年14%という高水準にある。予想を上回る政府支出とインフレ圧力のため、金利を早期に引き下げられずにいる。高金利は企業の設備投資や運転資金の調達コストを押し上げる。中央銀行も、高い税負担と引き締め的な金融環境が企業の投資や採用、賃上げ計画を縮小させる可能性があると見込んだ。

この負担は来年以降も続く可能性が高い。中央銀行は2027年の平均政策金利を10.5〜12.5%と予想した。BOFITは、ロシアの経済成長率が2027年と2028年にそれぞれ約0.5%にとどまると予測した。軍需部門に投入された設備や生産物の多くが戦争遂行に使用されるため、民間の生産能力や生産性を高める効果も限定的であると評価した。

モスクワ市のセルゲイ・ソビャーニン市長も先月、経済全体を戦争に動員すべきだという主張を「無益な話だ」と一蹴し、「平時の経済がなければ、税金も国民所得もない」と強調した。続けて、「正常な経済を殺すことは、国全体を殺すことだ」と警告した。

ロシアは低い国家債務を背景に、さらなる戦費を調達することは可能だ。しかし、軍需生産をさらに拡大するには、もはや残っている遊休設備や労働力を使うのではなく、民間企業が使っていた人材や資本を奪わなければならない。民間企業は税金や人件費、金融コストをさらに負担することになり、投資や採用の余力は削がれる。

チトフ氏が強調した軍事経済と民間経済の「比率」も、まさにこの点に行き着く。軍需部門の比重を拡大し続ければ、戦争を下支えする税収や民間の生産基盤までもが弱体化しかねない。同氏が経済全体の軍需化を「極めて限られた期間」しか維持できない「バーサーカー(狂戦士)モード」だと警告した所以(ゆえん)である。

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