ナスダック上場へSBエネルギー、エヌビディアと連携も稼働中のデータセンターは「ゼロ」
IPO申請も収益化はこれから…オープンAI・エヌビディア依存の事業構造、自社も「オープンAIがリスク」と明記

ソフトバンクグループ(SBG)傘下のエネルギー・インフラ開発会社SBエネルギーが、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請した。SBエネルギーが目標とする企業価値は約500億ドル(約7兆9,000億円)と見込まれているが、中核事業であるデータセンター部門ではまだ収益を上げておらず、オープンAIやエヌビディアに依存した「循環的な資金調達」の典型例だとの見方が出ている。
2日、日本経済新聞は、SBエネルギーがSECに提出した上場申請書(S-1)に基づき、米ナスダック市場に上場する予定だと報じた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、SBエネルギーの目標調達額は50億~70億ドル(約7,891億5,000万~1兆1,000億円)規模だ。
SBエネルギーは、ソフトバンクが主導するAI向けデータセンターの建設・運営を中核事業として企業価値を急速に拡大している。SBエネルギーが契約済み、または建設中のデータセンターの容量は合計8.8ギガワット(GW)に達する。上場申請書によると、2026年上半期の売上高は1億3,870万ドル(約218億9,000万円)で、前年同期比66.4%増加した。ロイター通信は5月、SBエネルギーがIPOで500億ドル以上の企業価値を目指していると伝えた。これは同じソフトバンク傘下で、3月に米国に上場した決済サービス大手PayPayの4倍以上に相当する。
問題は、SBエネルギーがデータセンター建設部門で収益を上げられておらず、稼働を開始したデータセンターもまだ一つもない点だ。2026年上半期の純損失も32億1,000万ドル(約5,064億9,000万円)で、前年同期の2億1,550万ドル(約339億9,700万円)から、純損失額が大幅に拡大した。
一方、SBエネルギーは最大の顧客になると見込まれるオープンAIと、主要投資家であるエヌビディアに依存している。オープンAIはSBエネルギーが建設中のデータセンターの賃借人だ。2026年初めには、AIデータセンター構築のための「スターゲートプロジェクト」の一環として、ソフトバンクとともに、それぞれ5億ドル(約788億8,000万円)をSBエネルギーに投資した。WSJは「SBエネルギーがオープンAIに400万株の新株予約権を付与することを決めた」と伝えた。
データセンターに画像処理半導体(GPU)を供給するエヌビディアによるSBエネルギーへの支援はさらに手厚い。データセンター賃貸事業者であるSBエネルギーに30億ドル(約4,732億8,000万円)を投資する一方、賃借人であるオープンAIにも300億ドル(約4兆7,000億円)を投資する構造だ。SBエネルギーがオハイオ州に建設中の世界最大規模のデータセンターを巡っては、オープンAIが賃料を支払えない場合、1,050億ドル(約16兆6,000億円)を保証する契約も締結した。
SBエネルギーは、データセンター建設に今後も1,700億ドル(約26兆8,000億円)以上を投資する必要があると明らかにしている。このため、エヌビディアが8月、ウォール街の金融機関と5,000億ドル(約78兆9,000億円)を調達することで合意しており、その一部がSBエネルギーに流れ込む可能性がある。
SBエネルギーは、オープンAIの経営状況も事業リスクとして明記した。開示資料では、オープンAIの財務状況の悪化や契約の見直しが「データセンターからの収入を失うことにつながり、事業や財務状況、経営実績に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」と警告した。さらに「企業の92%が今後3年間にAI支出を増やす計画だが、AI導入の面で自社を『成熟段階』にあると評価する企業経営者はわずか1%に過ぎない」とし、「現在AIを導入している企業でさえ、今後数年にわたる投資サイクルの初期段階にあるということだ」と付け加えた。



