「予算143兆円」積極財政で長期金利3%、円相場は再び160円台
揺らぐ「サナエノミクス」
過去最大予算に減税も推進
高市政権の積極財政に警戒感
円相場は再び1ドル=160円台
ベッセント米財務長官「円高につながる措置を信じる」

高市早苗首相の政権運営を支えてきた「サナエノミクス」が揺らいでいる。高市内閣が掲げる積極財政について、市場では「成長を伴わない財政拡大ではないか」との疑念が強まっているためだ。
2027年度予算の概算要求額は過去最大の143兆円を超える見通しだが、高市内閣は減税を進める一方、予算要求の上限も設けていない。その結果、国債利回りは相次いで高値を更新し、円相場も再び1ドル=160円台まで下落した。
1日(現地時間)の日本経済新聞によると、この日の日本の10年国債利回りは一時3%に達し、1996年9月以来、約30年ぶりの高水準となった。
10年国債利回りが3%まで上昇した背景には、日本銀行が17~18日に開く金融政策決定会合で政策金利を引き上げるとの市場観測がある。
ただ、長期金利を根本的に押し上げている要因として、財政健全性への懸念も指摘されている。
国内メディアが前日に報じた各省庁の2027年度予算の概算要求額は、過去最大となる約143兆円規模に達した。概算要求とは、各省庁が必要な経費をまとめ、財務省に提出する予算要求のことを指す。
今回の予算編成は、政権発足2年目を迎えた高市内閣が初めて本格的に取りまとめるものとなる。
高市内閣は、各省庁による成長分野や危機管理関連の予算要求について、上限を設けない方針を採用した。また、具体的な金額を示さず、事業項目のみを記載する「事項要求」も認めている。
さらに、食料品の消費税率引き下げも来春から実施する計画だ。
これによる税収減は年間約4兆~5兆円に上ると見込まれているが、高市首相は「赤字国債の発行に頼らず、税外収入や補助金の見直しなどで財源を確保する」と説明するにとどまり、具体的な財源は明らかになっていない。
高市首相は先月29日の読売新聞とのインタビューでも、「2025年度補正予算では新規国債発行額を前年度以下の40兆円程度に抑えた」と述べ、今後も同程度の国債発行額を維持する考えを改めて示した。
高市内閣は、人工知能(AI)や半導体など17の戦略分野に対し、2040年までに官民合わせて370兆円を投資する計画も掲げており、財政負担は一段と膨らむ見通しだ。
一方、今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は年率換算で1.1%となり、前期の1.9%や市場予想の2.0%を下回った。
積極的な財政支出を進める一方で、経済成長の基礎体力が十分に高まっていないとの見方も出ている。
財政への警戒感が強まる中、長年の課題である円安も再び進行し、米国側からも日本に利上げを促す声が出ている。
円相場は同日午後、1ドル=160円台まで下落し、7月31日の日米による為替市場への協調介入で得られた円高効果はほぼ失われた。
一方、長期国債利回りの上昇に悩む米国も、日本の円安を警戒している。
日本が円買い介入の資金を確保するために米国債を売却すれば、米国債価格が下落し、米国の長期金利をさらに押し上げる可能性があるためだ。
追加の為替介入に慎重な米国は、日銀による早期の利上げを円安是正の手段の一つとみている。
NHKによると、スコット・ベッセント米財務長官は先月31日、米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、片山さつき財務相と植田和男日銀総裁と相次いで会談した。
ベッセント長官は会談で、「財政の持続可能性と利上げに向けた道筋を市場に明確に示すことが重要だ」と述べ、事実上、日銀に利上げを促したと伝えられている。
さらにCNBCとのインタビューでも、「日本政府と日本銀行が円高につながる措置を講じると信じている」と強調した。



