米国が攻勢再開なら欧州も標的に イラン、米軍施設への攻撃検討か

米国のドナルド・トランプ大統領がイランへの攻勢を再開した場合、イランが欧州にある米軍関連施設への攻撃を検討してきたとの見方が浮上した。19日(現地時間)、英フィナンシャル・タイムズ(FT)がイラン政権に近い関係者の話として報じたところによると、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)はブルガリアを含む南東欧の米軍関連施設を攻撃する可能性を検討してきたという。
これに先立ち、ブルガリア政府は7月、米軍の空中給油機がベズメル空軍基地で作戦を行うことを承認した。これを受け、7月31日には米軍の空中給油機「KC-135」2機がベズメル空軍基地に到着した。首都ソフィアから約260km離れたベズメル空軍基地はブルガリア南東部に位置し、欧州と中東を結ぶ航空作戦の後方拠点として活用できる。米国にとっては、すべての支援戦力を中東地域に集中させるのではなく、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の基地を利用することで、空中給油戦力を分散できる利点がある。
こうした中、イラン外相は7月30日、ブルガリア外相と電話会談し、米軍によるブルガリア領土の使用に反対する立場を伝えた。イランが攻撃対象として検討した欧州の米軍関連施設は、ブルガリアだけではない。関係者はFTに対し、「米国が追加の軍事行動に踏み切った場合、キプロスも攻撃対象になり得るとの分析が出ている」と明らかにした。東地中海の島国キプロスは、欧州と中東の間に位置する戦略的要衝とされる。英国はキプロスに2か所の主権基地領域を保有しており、今年初めにはそのうちの英軍基地がドローン(無人機)攻撃を受けた。

イラン戦争開戦直後の3月2日、キプロス南部にある英空軍(RAF)のアクロティリ空軍基地にドローン1機が飛来し、基地を攻撃した。当時使用されたドローンは、イラン製のシャヘド系列だったことが確認された。
ロイター通信によると、当時キプロスと英国の当局者は、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラが発射した可能性が高いと分析していたという。2日後の3月4日にもキプロス近海でドローンを巡る警戒事案が発生し、この際にはギリシャが戦闘機「F16」を緊急発進させた。
FTが入手したイラン側の報告書によると、イランの作戦担当者らは、ホルムズ海峡を通る光海底ケーブルを破壊する案についても検討していたという。ケーブルが損傷した場合、世界で最も重要な海上交通路の一つを通る通信インフラに悪影響を及ぼす可能性がある。こうした計画は、現在の紛争の水準を超える事態になった場合、米国への対抗措置をどのように強化するかをイランが検討する中で浮上した。
関係者は「イランの報復の規模と方法は、米国の措置によって変わる」と述べた。関係者は「トランプ大統領が、ホルムズ海峡での船舶攻撃に対する報復としてイランのインフラを攻撃するという脅しを実行に移した場合、イランは戦争をさらに拡大する方法を模索するだろう」と語った。別の関係者もFTに対し、「イランが米国による大規模な攻勢に直面した場合、中東を越えて報復措置を拡大する可能性がある」と述べた。
米国とイランは6月17日、戦争終結に向けた了解覚書(MOU)に署名したが、60日間の交渉期間は8月17日、目立った成果がないまま期限を迎えた。双方は恒久的な戦争終結やイランの核問題などを巡り最終合意を目指したものの、立場の隔たりを埋めることができなかった。
現在、イランは米国との停戦ではなく、戦争を完全に終結させる合意を望んでいるとの立場を示している。イランのアッバース・アラーグチー外相は18日、「我々が望んでいるのは停戦ではなく、戦争の終結だ」とし、「短期間で戦闘を停止した後に再び戦争が起きるような状況は受け入れられない」と強調した。その際、昨年イスラエルとの間で起きた「十二日間戦争」にも言及した。

しかし、トランプ大統領は、イランとの協議は一切行われておらず、予定もされていないと反論した。これは、前日にトランプ大統領の娘婿で特使を務めるジャレッド・クシュナー氏が「米国とイランは非常に前向きで活発な対話を行っている」と明らかにしたことと食い違う発言だ。これに関連し、AFP通信は米政府関係者の話として「両国間で前向きな協議が行われたのは事実だ」としながらも、「トランプ大統領はイランが合意する用意が整うまで待つことを決め、側近らに交渉を中断するよう指示した」と報じた。
こうした中、米国はイランに対する経済制裁を全面的に強化して圧力をかけているが、イランはその負担を甘受しながら持ちこたえる道を選ぶとの見方が出ている。米国は実際、イランへのさらなる経済的圧力を強める姿勢を示している。
マクロ経済専門のコンサルティング会社、マクロポリシー・パースペクティブズの創業者ジュリア・コロナド氏は、米メディアのポリティコに対し、「米国はより多くの財政負担を賄うため、ますます多くの資金を支出しなければならない状況にある」とし、「今回の戦争によって、世界はより多くの摩擦と供給ショックに満ちた危険な場所になった」と指摘した。さらに、「米国による強力な制裁でイランも急激な物価上昇や国民生活の悪化に大きく苦しんでいるものの、イランとの交渉経験がある関係者らは、政権を屈服させるには到底不十分だと指摘している」とした。

