イラン、ペルシャ湾の海洋汚染で賠償要求 米国との責任論が環境問題にも波及
ゲシュム島の海岸に黒い油膜…イラン、ペルシア湾の海洋汚染めぐり責任論を提起
オマーン沖ではロシア産原油の流出拡大…海洋生態系への被害に懸念

米国とイランの「賠償を巡る対立」が海にまで広がっている。ドナルド・トランプ米大統領がイランにさまざまな被害への賠償を求める中、今度はイランが、ペルシア湾とオマーン湾の海洋汚染によって数兆ドル規模の被害を受けたとして、責任を問う姿勢を示した。
13日(現地時間)、CNNによると、イランのエスマイル・バガイ外務省報道官はX(旧Twitter)を通じ、ホルムズ海峡の商業輸送で利益を得ている関係者には、ペルシア湾とオマーン湾の環境被害を修復する法的・道義的責任があると主張した。
バガイ報道官は、数十年にわたりさまざまな汚染がこの一帯の海洋生態系を損ない、イラン沿岸地域に「数兆ドル」規模の被害をもたらしたと明らかにした。その上で、安価なエネルギーを消費してきた国々や海運保険会社、ペルシア湾とオマーン湾を軍事作戦や破壊的兵器の実験場としてきた勢力のうち、誰が被害を賠償する責任を負うべきなのかと問いかけた。
この発言は、イラン南部ゲシュム島の海岸に黒い油膜が押し寄せる中で発せられた。CNNが撮影場所を確認した映像には、ホルムズ海峡付近のゲシュム島の海岸が油で覆われている様子が映っていた。ただ、今回の油の流出の原因はまだ確認されていない。
イランに賠償を求めたトランプ大統領…今度は環境被害まで
両国はこれに先立ち、戦争による被害を巡っても互いに賠償を求めていた。イランはホルムズ海峡の再開条件として、米国による制裁や軍事的威嚇の停止とともに、米国とイスラエルの攻撃によって生じた被害への賠償を求めてきた。
これに対し、トランプ大統領は10日、イランが戦争や攻撃、抗議デモの鎮圧の過程で死亡したり重傷を負ったりした人々に賠償すべきだと反論した。トランプ大統領はホワイトハウスで、「賠償すべき被害があるのなら、イランがその被害を賠償すべきだ」と主張し、過去50年間にイランが引き起こしたとする被害についても金銭を要求する考えを示した。
今回のバガイ報道官の発言が、トランプ大統領の要求に対する直接的な回答なのかは確認されていない。ただ、イランがこれまでの戦争被害を巡る賠償問題に加え、海洋汚染にまで被害の範囲を広げて責任を問う姿勢を示したことで、米国とイランの「賠償を巡る応酬」は一段と複雑化している。
ロシア産原油の油膜、オマーン本土にまで到達
近隣のオマーン沖では、これとは別の大規模な原油流出事故も急速に拡大している。ロイター通信によると、制裁対象のタンカー「キャロライン・ベゼンギ」から流出した油がオマーン本土の海岸にまで到達した。油膜は衛星画像の分析の結果、2,000平方kmを超える海域に広がっていることが明らかになった。
同船はロシア産原油約80万バレルを積んで航行中、6月30日に座礁した。流出地域の周辺には、絶滅危惧種であるアラビア海のザトウクジラやソコトラウミウなどが生息する海洋保護区もある。
防除作業も容易ではない。国際油濁補償基金(IOPC Funds)は、今回の事故を単なる海難事故ではなく「戦争行為」に関連する事案と判断し、防除費用の支援対象にはならないと明らかにした。季節風も重なり、油膜がさらに拡大する可能性があるとの懸念が出ている。
ゲシュム島とオマーンでの油流出は、現時点ではそれぞれ別の事案とみられている。しかし、戦争や制裁、船舶への攻撃が複雑に絡み合うホルムズ海峡一帯では、軍事・エネルギーを巡る対立の余波が海洋環境への被害にまで波及している。

