米軍戦車部隊、ウクライナのドローンに「全滅」判定 ドイツのNATO演習で実戦戦術を検証

ドイツの軍事演習場で、米軍とウクライナ軍が対峙した。年2回実施される合同演習「コンバインド・リゾルブ(Combined Resolve)」の結果は、ウクライナ軍の圧勝だった。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が12日(現地時間)に報じたところによると、今回の演習で対抗部隊(OPFOR)を務めたウクライナ無人システム軍第412連隊のドローン操縦兵らは、ドイツに交代配備されている米陸軍第1騎兵師団傘下の第3機甲旅団に所属する3,500人の部隊と対峙したという。
米軍はヘリコプターやドローンの支援を受けながら、電子戦装備や対ドローン装備を備えた戦車部隊を展開した。
模擬戦闘が始まると、米軍の重装甲戦車部隊が土煙を上げながら敵陣へ突撃した。これらの戦車はウクライナの偵察ドローンに次々と発見された。続いて攻撃ドローンが爆弾を投下し、自爆型ドローンも加わった。
結果は米軍機甲部隊の全滅だった。この演習では、ドローンが戦車の上空を飛行したり接近したりすると、その戦車は「撃破(kill)」されたと判定された。ドローンがあまりにも速いペースで戦車を撃破したため、撃破判定を受けた戦車を演習に再投入する「リスポーン」まで必要となった。

WSJは、「米軍の機甲部隊が移動する際、ドローン攻撃から部隊を守ることの難しさを示した」とした上で、「米国防総省はドローンや対ドローン技術の確保に数十億ドルを投じ、それらを運用する特殊部隊も創設したが、依然としてドローン攻撃への対応に苦戦した」と指摘した。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のエリオット・コーエン氏は、「現代戦においてドローンがいかに不可欠かを示した」とし、「米軍がこうしたドローン戦に習熟することは極めて重要だが、残念ながらこれまでのところ、そうなっているようには見えない」と指摘した。
ただ、演習に参加した米軍関係者はWSJに対し、「米軍も2週間にわたる演習期間中、部隊の分散や隠蔽、電子戦の活用を学び、対ドローン作戦の遂行能力が向上した」とし、「実戦経験が豊富なウクライナの協力が大きかった」と評価した。
世界最強のドローン部隊を擁するウクライナ
ウクライナは、ロシアの侵攻による戦争を4年以上戦い続ける中で、事実上、世界最強のドローン部隊を運用できるまでになった。
特に、イランとの戦争では、非対称戦力の中核とされるドローンを前面に押し出すイランが中東の米軍基地に致命的な打撃を与え続けており、米軍はドローン分野で先行するウクライナに協力を求めざるを得ない状況となっている。
今年春にも、ウクライナのドローン部隊はスウェーデン軍や北大西洋条約機構(NATO)加盟国と実施した演習で、他国の部隊を圧倒したと伝えられている。5月にバルト海で行われた演習でも、ウクライナのドローン部隊は英国、エストニアなどNATO加盟国の部隊を難なく撃破した。
こうした中、米国のピート・ヘグセス国防長官は5月、上院で「ドローン戦の研究のため、ウクライナに派遣する米国人要員を増やした」と明らかにした。さらに米国は、ウクライナのドローンの購入も進めているとWSJは伝えた。
イラン、停戦期間中にドローン戦力を大規模再建
イランは、ロシアによるウクライナ侵攻の初期、ロシアの戦力を支えた主要国の一つだ。当時、イランはロシアにシャヘド系列のドローンを大量に供与し、ウクライナは対応する間もなくドローン攻撃にさらされた。現在イランと戦争中の米国が、ドローン戦力の強化に力を入れている背景にはこうした事情がある。
イランは2月28日、米国とイスラエルによる先制攻撃で始まった戦争の初期にドローンの在庫の相当部分を使い果たしたものの、停戦期間中に戦力の再建に成功したとみられている。

イラン軍のモハンマド・アクラミニア報道官(准将)は4日、国営テレビで、「われわれは覚書がもたらした機会を最大限に活用し、停戦期間中の一瞬一瞬を大切にした」と述べた。
さらに、「停戦期間中、既存の軍事装備を軍に導入し、新たな装備を輸入する一方、戦争で損傷した兵器システムの修理・復旧や、新たな兵器の生産を進めた」とし、「次世代ドローンも実戦投入されており、具体的な仕様は今後公表する」と付け加えた。
イランのマジド・イブン・レイザ国防相代行も先月、「ミサイルとドローンの生産を一日たりとも止めなかった。その結果、ドローンの生産量は戦争前の約3倍に増えた」と主張した。
イスラエルは4月、米国とイランが2週間の停戦を決めた際、「停戦はイランに態勢を立て直す時間を与えるだけだ」と懸念を示していた。事実上、トランプ大統領がイランに軍事力を再建する時間を与えたとの見方との見方が出ている背景だ。
今月初め、米国のドナルド・トランプ大統領がイランに対する新たな軍事作戦を承認した後、突然中止した背景にも、こうしたイランのドローン戦力の再建があるとの見方が出ている。
イラン革命防衛隊(IRGC)の元高級司令官ホセイン・カナニ・モガダム氏はアルジャジーラに対し、「われわれは地下のミサイル・ドローン基地に兵器を備蓄しており、これらの基地の新たな施設が徐々に作戦体制に組み込まれている」とし、「こうした軍事力の分散と地下施設は、米国がイランへの大規模攻撃を何度も中止した理由の一つだ」と強調した。


