ウクライナ、ロシア最大ECの物流拠点を攻撃 軍需補給の遮断狙いか
軍需物資の補給遮断と「経済のボトルネック」攻撃を狙う
「戦争を始めた側に返す」…モスクワ近郊まで迫るドローン戦
戦線膠着の中で浮かび上がったロシア経済の「アキレス腱」

ウクライナが、ロシア最大の電子商取引(EC)サイト「ワイルドベリーズ」の大大型物流倉庫への精密攻撃を繰り返しており、その狙いに注目が集まっている。
最近、ウクライナ軍のドローンは、首都モスクワ近郊のポドリスクやトベリなど、ロシアの主要物流拠点を標的にした。先月以降に攻撃を受けたワイルドベリーズの倉庫は20カ所を超え、人的被害に加え、大規模な物流の混乱も広がっている。
「ロシア版アマゾン」を襲った1兆円超の衝撃
市場調査会社データ・インサイトが18日に明らかにしたところによると、今回の攻撃によるワイルドベリーズの商品損失や物流施設の被害額は、最大4,800億ルーブル(約9,062億円)に達する。出店事業者の被害まで合わせると、経済的損失は総額8,000億ルーブル(約1兆5,100億円)を上回ると推計されている。
2022年の開戦後、海外企業が相次いでロシア市場から撤退する中、ワイルドベリーズは国内小売市場の約半分を占めるまで急成長した。一方、サッカー場数十面分にも及ぶ巨大な物流センターが火災に弱いことが、致命的な弱点となった形だ。
軍需補給の遮断と「経済のボトルネック」攻撃
ウクライナ側は、ワイルドベリーズが単なる民間向け通販サイトではなく、ロシア軍の物資流通を支える重要な経路として利用されていると主張している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この物流網を通じて航法装置やドローン部品、戦線向けの補給物資などが流通していると指摘した。
ただ、軍需物資の流通を遮断するだけでなく、ロシアの経済・社会構造そのものの「アキレス腱」を狙ったとの見方も強まっている。ワイルドベリーズは月間利用者が8,000万人に上り、出店する中小事業者も約100万社に達する。物流網がまひすれば、民間経済だけでなく、国民が日々感じる物価にも直接影響を及ぼすためだ。
国有銀行の不良債権化とエリート層への圧力
今回の攻撃の影響は、ロシアの金融業界にも広がっている。ワイルドベリーズは最近、短期借入金が8倍以上に急増するなど、総負債が140億ドル(約2兆2,300億円)に達している。主要債権者であるズベルバンクやVTBなどロシアの大手国有銀行も、融資を回収できなくなるリスクにさらされている。
ウクライナ大統領府の関係者は、年間取引額が6兆ルーブル(約11兆円3,300億円)規模に上る企業を揺さぶることでロシアの金融システムに圧力をかけるとともに、プーチン大統領の側近やエリート層に対し、「戦争の代償は民間人の生活や資産にまで及ぶ」という強い警告を送る狙いがあると説明した。
象徴的な民間施設への攻撃か、実質的な経済の急所攻撃か

一部では、ウクライナがロシア戦線の後方にある「社会的なボトルネック」を狙い始めたとの見方も出ている。戦線の膠着状態が続く中、ロシア国内の物流や金融という急所を攻撃することで、戦争遂行能力を根本から弱めようとしているとの分析だ。

